なぜK-1王者の武尊は世界王者を育てたボクシングの名トレーナーとコンビを組んだのか?
さらに「来年はレオナ戦を含め何試合戦うつもりか」と聞かれて「試合数じゃない。自分の中で満足できる試合しかしたくない。そういう試合が1試合できるなら十分。上から(目線)だが、レオナは、対戦相手としては僕が満足できる。この相手なら申し分ない。思い切り気持ちよく殴り合えるんじゃないかな」と続けた。 まずは3月のペッダム・ペットギャットペット(タイ)戦以来、約10か月ぶりの復帰戦となるレオナとのタイトル戦で存在感を示しておかねばならない。 レオナは7月に大岩龍矢に判定勝利してKrushのベルト防衛に成功した試合後にセコンドについていた武尊に対戦をアピール。武尊も「やろうぜ」と答え、9連勝と勢いに乗るKrush王者との対戦が決定した。武尊の左拳の怪我で11月の予定が延期となったが、アマ時代の対戦は1勝1敗。因縁の一戦である。だが、武尊はレオナについては「イメージは変わらない」とだけしか語らず敵は己にあることを説いた。 「何回やったかわからないが、タイトルマッチは凄く特別だし、緊張するし対戦相手の恐怖じゃなくて、ベルトと、自分の立場を奪われる恐怖と戦わなくてはいけない。今回もその恐怖と毎日、戦っている」 レオナは長いリーチを生かした攻撃的なファイター。遠い距離から3ラウンドをコントロールされるとつかまえきれない危険性もある。ただ、ガードが甘く、ボクシング効果の”お披露目”としては、絶好の相手。藤原トレーナーも「キックの試合のことは詳しくはわからないが、できればボクシングのパンチで倒して欲しい」と願うが、武尊は、慎重に言葉を選んだ。 「僕はセコンドに指示を出されないし自分の感覚を信じて戦っている。そういう意味では感覚にあったものを試合で出す。(学んだボクシング技術が)出るか、出ないかは感覚次第」 インタビューを武尊は、こんな言葉で締めくくった。 「今年は1試合しかできなかった。来年自分が高く跳ぶために今年はしゃがんだ1年だった。試合のできない悔しさ、怪我をした気持ちとか、いろんなことがあった1年。でも、夜明け前は暗闇。来年、明るい夜明けが待っている。1月(のレオナ戦)に最高の形で勝って、その後は僕のことを応援してくれているファン、信じてついてきてくれる皆さんに恩返しができれば」 いいメッセージだった。 2021年の格闘技界の主役を奪う決意が武尊にはある。