エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 後編
フォルクスワーゲン・ゴルフR
初代と第2世代のゴルフRは、搭載される3.2L V6エンジンにちなんで「R32」と呼ばれている。強力で素晴らしいサウンドを奏でるエンジンだったが、非常に重く、ほぼフロントアクスルの前方に搭載されたため、ハンドリングに悪影響を与えていた。後に改善が図られたが、カーブが連続する山道では苦戦を強いられることもある。 その次の世代からは、新たに2.0L直4ターボを採用。パワーアップと同時に軽量化も実現した。ハンドリングの問題はようやく解消され、ゴルフRは本来あるべき立派なホットハッチとなった。
フォルクスワーゲン・パサート
1997年に登場したパサートは、良いクルマではあるが、特にワクワクするようなクルマではなかった。エンジンもほぼすべて平凡だったが、例外が1つだけある。4.0L W8エンジンだ。2基の2.0L V4エンジンを1つのクランクケースに統合したユニークな構造で、量産車に搭載されたのはパサートが唯一の例である。 パサートW8は2001年から導入され、標準車より80ps以上上回る最高出力275psを発生。他に類を見ない特徴を持つエンジンだが、販売は振るわず、短命に終わってしまう。これはフォルクスワーゲンも予想していたことかもしれない。
フォルクスワーゲン・トゥアレグ
フォルクスワーゲンにはもう1つ、素敵なエンジンがある。初代トゥアレグの発売から2年後に追加された、6.0L W12エンジンだ。パサートのW8と同様に珍しい構造だが、こちらはアウディA8、ベントレー・コンチネンタル、フォルクスワーゲン・フェートンなど複数のモデルに導入されている。 W12は最高出力450psと、性能面でも他のあらゆるエンジンを圧倒した。フォルクスワーゲンは当初、このトゥアレグW12を500台のみ生産する予定だったが、予想外の人気を博したため、台数制限はなくなった。
モーリス・マイナー
1948年の発売当時、モーリス・マイナー(Morris Minor)にはウーズレー設計の918ccエンジンが搭載されていたが、すでに20年前の古い設計だった。1952年、モーリスはかつての宿敵オースティンとともにブリティッシュ・モーター・コーポレーション(BMC)に統合される。これにより、BMCの新しいAシリーズ・エンジンを利用できるようになった。 Aシリーズ・エンジンは803ccと小型ながら、それまで搭載されていたエンジンとほぼ同等のパワーを発揮し、さらに発展の余地も十分に残されていた。排気量は後に1098ccにまで拡大され、マイナーが生産終了となる1971年まで使われ続けた。