エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 後編
MGB
1962年にMGBロードスターが発売され、その3年後にMGB GTと呼ばれるクーペバージョンが登場した。さらなる高性能化を目指し、まずは2.9L直6エンジンを搭載したMGCというモデルが発売されたが、満足のいくものではなく、わずか2年で廃止されてしまう。 1973年に2度目の挑戦が行われた。今度はビュイック由来の3.5Lローバー・エンジンを採用し、MGB GT V8を誕生させた。結局は短命に終わってしまったが、誰もが認める高性能モデルであった。
ルノー6
今回紹介する中では、比較的穏やかな変化を遂げた1台。ルノー6(シス)は、既存のルノー4(キャトル)の上級モデルとして開発されたが、1968年の発売当初は4と同じ旧式のエンジンを使用していた。当時すでに、もっと強力な「クレオンフォンテ」が実用化されていたにもかかわらずだ。 1970年、ルノーはようやくクレオンフォンテを6に導入した。特別に速いというわけではなかったが、そもそも速くする必要はなかった。1974年にAUTOCAR英国編集部が試乗した際も、その走りを高く評価している。
ルノー・クリオ・ルノー・スポール
クリオ(日本名:ルーテシア)の高性能モデルであるクリオ・ルノー・スポールは当初、高回転型の自然吸気2.0Lエンジンを使用していた。この方針は2013年に大きく変わり、ルノーのアライアンスパートナーである日産と共同開発した、最高出力200psの1.6Lターボに切り替えられた。 クリオのキャラクターが変貌したことは疑いようもない。問題は、それがポジティブな変化なのか、ネガティブな変化なのかということだ。中速域の性能が向上したことを大きな改善点と捉える人もいたが、AUTOCARは「前モデルの小気味よいキビキビとした走りは、容赦なく失われてしまった」と評した。
サーブ96
サーブは1949年発売の92から、1967年の96(92の第2世代)の途中まで、2ストロークエンジンだけを使用してきた。そこから、ドイツ・フォードが開発した4ストークのV4に切り替えた。 世界屈指のエンジンとは言えないものの、それまでサーブで採用されていたどのエンジンよりもパワフルだった。また、ハチをブリキ缶に閉じ込めたような騒音や、臭い青煙を大量に出さないことも重要な点であった。サーブ96は1980年まで生産されたが、もし2ストロークに固執していたら、間違いなく早期に生産終了していただろう。