エンジン載せ替えて「劇変」したクルマ 性能やキャラクターが変わった名車たち 31選 後編
サンビーム・アルパイン
冒頭(前編を参照)に紹介したACエース&ACコブラとほとんど同じ経緯である。キャロル・シェルビー氏は、サンビーム・アルパイン(Sunbeam Alpine)にももっとパワーを与えなければならないと考えたのだ。 標準エンジンからフォードの「ウィンザー」(当初は4.3L、後に4.7L)に換装され、車名もその力強い特性にふさわしく、タイガー(Tiger)という攻撃的なものへと改められた。ただし、コブラと違って大排気量V8に発展することはなかった。
バンデン・プラ・プリンセス
ヴァンデン・プラ・プリンセス(Vanden Plas Princess)として知られる数種類のクルマの中で、ここで取り上げるのはファリーナ設計の大型セダンで、オースチンやウーズレーが生産したモデルとほぼ同じだ。すべて2.9Lの直6エンジンを搭載していたが、プリンセスだけはさらに改良が加えられた。 1964年、数回の改良を経て、プリンセスRと名付けられた高性能モデルが登場。エンジンはロールス・ロイスが開発した3.9Lで、最高出力は120psから175psに跳ね上がり、以前よりはるかに速くなった。ただ、プリンセスのキャラクターを考えると、加速性能よりも高速巡航を重視していた可能性が高い。
ヴォグゾール・カールトン
ヴォグゾールのカールトンGSi(Vauxhall Carlton GSi)は、優れたハンドリングと強力な3.0Lの24バルブエンジンを備えたスポーツモデルだ。また、ワーグナーのオペラのように壮大な高性能モデル、ロータス・カールトンのベースとなったことでも知られる。ドイツ・リュッセルスハイムのオペル工場から出荷されたカールトンGSiは、英国のロータス本社に送られ、150時間かけて改造された。 改造の内容は、直6エンジンの排気量を3.0Lから3.6Lに拡大し、ギャレット製ターボチャージャーを2基搭載するというものだった。その結果、最高出力は207psから382psへと向上し(高オクタン価のガソリンを使用した場合)、加速性能も大幅に高められた。あまりの速さに、販売中止を求める声が上がるほどであった。