「毎日腹筋200回」80歳・草野仁はなぜ、元気なのか?【精神科医・和田秀樹が分析】
結局は意欲の問題
和田 結局ね「運動をする」か「しない」かは、意欲があるかどうかなんですよ。僕は患者さんに「歩かないと歩けなくなりますよ」と言うんですね。すると「頑張ります」と口では言うものの、やらない人が多い。 草野 意欲の低下ですね。 和田 はい。一般的に、認知症は物忘れから始まると思われているけど、その前に意欲が低下して活動量が減る。草野さんは真逆ですね。今日、会った瞬間から意欲がみなぎってる(笑)。 草野 いやいや(笑)。私もね「今日は休みたい」と思うことはあるんですよ。でも、もともとが怠け者の体質なので、休むと続かなくなる。だからやり続ける。 和田 なるほど。でも、ダンベル15キロは楽じゃないですね。 草野 15キロは大きな負荷ではありません。あ、面白い話を思いだしました。浜口京子さんの家に取材に行った時に30キロのダンベルが置いてありましてね。オリンピアンですから軽々とやるのは当然としても、お母さんは「京子はね、困るのよ」と言うんです。「え、何が?」と聞くと「朝、カーテン開けてと言ったらカーテン引きちぎったことがある。しかも2回もよ」って(笑)。
習慣化するとやるようになる
和田 毎日やることは習慣化につながるんですね。習慣になると、やらないと気持ち悪くなる。例えば、夜にシャワーを浴びるのが習慣になっている人は、浴びないと気持ち悪くて寝られない。やらないと気持ち悪い状態をつくることは、とても大事です。いかに習慣をつけるか。 草野 仰るとおりです。 和田 例えば、子供に勉強させる時に一番賢いやり方は、学習習慣をつけることです。学習習慣がつくと、勉強しない日は頭が悪くなった気がする。強制的にやらせるのではなく、習慣化すれば自発的にやるようになるわけです。 草野 それはいいですね。 和田 はい。だけど、年をとってくると困ったことが起こります。せっかく身につけた習慣がポツリポツリと抜けてくるんですよ。だからやはり、草野さんが筋トレの習慣を貫いているのは、素晴らしいのです。 和田秀樹/Hideki Wada 精神科医。1960年大阪市生まれ。東京大学医学部卒業。現在、立命館大学生命科学部特任教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。老年医学の現場に携わるとともに、大学受験のオーソリティとしても知られる。『80歳の壁』『70歳の正解』など著書多数。 草野仁/Hitoshi Kusano キャスター。1944年旧満州生まれ。東京大学文学部社会学科卒業後、NHKに入社。1985年に退社しフリーに。『太陽生命 Presents 草野仁の名医が寄りそう! カラダ若返りTV』(BS朝日)でMCを務める。『「伝える」極意』(SB新書)が発売中。
TEXT=山城稔 PHOTOGRAPH=筒井義昭