物作りはお酒を飲みながら 「捨てられる運命だった」布やボタンが生まれ変わる DIYバーが解き放つ「大人の創造性」
お酒を飲みながら、捨てられる運命だった布やボタンなどの素材を使って物作りを楽しむDIYバー「リンネバー」。ゴミはゴミという大人の固定観念を解きほぐし、創造性を引き出す場を目指している。店を運営するRINNEの小島幸代さんに、新しい価値を生み出す場づくりへの思いとその先を聞いた。(聞き手 SDGs ACTION!編集部・池田美樹) 【写真】思い出の品も、こんな「作品」に生まれ変わる! =============================== 小島 幸代(こじま・さちよ) 株式会社RINNE代表取締役。大阪芸術大学デザイン学科卒業後、広告代理店やIT企業で16年間クリエイティブ組織の構築と人材育成を支援。2019年、アップサイクルを核にRINNEを創立し、「Rinne.bar」をオープン。地域コミュニティやクリエイターと協働し、企業や行政の持続可能な取り組みを支えるパートナーとして、環境にやさしいライフスタイルを促進している。 ===============================
ポートランドで出会った新しい価値観
――リンネバーを始めようと思ったきっかけと経緯を教えてください。 私はクリエイター特化型の人材紹介や組織づくりのコンサルティングをおこなっていたのですが、独立してさまざまなスタートアップ企業と関わる中で、社会課題を解決するビジネスに興味を持ちました。 特に影響を受けたのは、既存の常識にとらわれない発想で課題に取り組む起業家たちとの出会いです。一方で気になったのは、日本の企業ではまだまだ新しい発想を取り入れることにリスクを感じる傾向が強いということでした。 そんな時、2018年に米国のポートランドを視察する機会がありました。きっかけは友人の移住でしたが、DIYの聖地と言われる街の文化に興味を持ち、何かおもしろいことが見つかるのではないかと思い、30カ所ほどの施設やショップを見て回りました。 なかでも衝撃を受けたのが「リビルディングセンター」です。ここでは住宅の廃材を1カ所に集めて、住宅の修繕に再利用する仕組みを作っていました。 印象に残ったのが、「スクラップ」という、小学校の先生たちが始めた取り組みでした。1998年から、子供たちが使い捨てにしていた教材や文具を集めて、素敵なお店にしていたんです。 特に感動したのは、ものを魅力的に見せるデザイン力でした。例えば、バラバラだとただのゴミに見える文具も、色を合わせたり、同じ種類のものを集めて展示したりすることで、アートのような魅力を放っていました。見ているだけでインスピレーションが湧いて「これだ!」と思いました。