物作りはお酒を飲みながら 「捨てられる運命だった」布やボタンが生まれ変わる DIYバーが解き放つ「大人の創造性」
固定観念を解きほぐすDIYバーの誕生
――どのようにしてリンネバーの構想を固めていったのでしょうか。 日本に帰国して、同じようなことをやろうと周りに相談すると、「子供の教育にはいいね」とか「ゴミをどう使うの?」といった反応で、私の感じたことがうまく伝わらない気がしました。安価な商品も充実している日本で、わざわざ廃材を使う意味を見いだせない人が多かったのです。 それで気づいたのは、日本の大人の固定観念が強すぎるのではないかということでした。子供たちは自由な発想で物を見ることができますが、大人は「ゴミはゴミ」としか見ていない。これは大人の価値観から変えていく必要があると感じました。 そこで考えたのが、ポートランドにあったDIYバーのような形式の店です。お酒を飲みながらリラックスした雰囲気の中で物作りを楽しむ。そうすれば、大人も固定観念から解放されやすいのではないかと考えました。 ――実際の開店準備はどのように進めましたか? まず4つの要素を考えました。素材の調達、飲み物の提供、道具の準備、そしてDIYのアイデアマニュアルです。デザイナーや飲食店経営の経験者、経営コンサルタントなど、9人ほどの仲間を集めて準備を始めました。 最初は、さまざまなイベントでデモンストレーションをしてみました。すごく良い反応だったので、これはいけるんじゃないかと思って、店舗を開く場所を探し始めました。 その後、さまざまなご縁に恵まれ、現在の場所が見つかりました。リノベーションが得意な施工会社の社長から紹介されたんです。建物のオーナーがソーシャルビジネスにとても理解のある方で、しかも住所が「小島2丁目」。私の名字も小島なので、これは運命だと思い、ここで店を作ることに決めました。 内装は全て廃材でつくることにこだわり、自分たちも手を動かしました。テーブルの脚には古いかもいを活用し、エントランスは、住宅の解体現場で出てきた建具をコラージュして使いました。お客様が入ってきた瞬間に「これは廃材でできているんだ」とわかるようにしたかったんです。大工さんと一緒に、本当に一から作り上げました。