物作りはお酒を飲みながら 「捨てられる運命だった」布やボタンが生まれ変わる DIYバーが解き放つ「大人の創造性」
誰もが持つ創造性を解き放つ社会に
――リンネバーを通じて感じたこと、気づいたことや今後について教えてください。 日本人は世界の中でも創造力と挑戦意識が低いほうだという指摘もありますが、実際にはそうではないと思います。誰もが豊かな創造性を持っているのに、それを表現する機会や場所が少ないだけなのではないでしょうか。 例えば、企業研修で来た人が、後日家族を連れて再訪してくれたことがあります。お父さんとお母さんはビールを飲みながら、子供たちと一緒に笑顔で、かつ真剣に作品を作っている。そんな光景を見ると、本当にこの場所を作って良かったと思います。 今後はリンネバーでの経験を元に、より大規模に廃材や不用品を活用できる「クリエイティブ・リユースセンター」の設立を目指しています。そのために、行政や他の組織との連携も始めています。サーキュラーエコノミーのスタートアップ支援にも関わっており、新しい循環型社会づくりに貢献していきたいと考えています。 物にはすべて物語があります。一見価値がないと思えるものでも、見方を変えれば素晴らしい素材になる。 私たちが普段「いらない」と思っているものの中に、実は大きな可能性が眠っているかもしれないのです。その過程で、自分の中に眠っていた創造性に気づくことが、持続可能な社会への第一歩になると信じています。
朝日新聞社