SANAAの大屋根、安藤忠雄による文化装置、緑溢れる公園…〈グラングリーン大阪〉の魅力を探る。
大阪駅前の貨物ヤード跡地で進む都市開発も2期に突入。ターミナル駅直結の都市公園として世界最大規模を誇る〈うめきた公園〉を中心に、イベントスペースや情報発信拠点〈PLAT UMEKITA〉を共有する大屋根、商業施設やホテル、文化装置〈VS.〉などを備え、感性を刺激する新たな街〈グラングリーン大阪〉が登場した。 【フォトギャラリーを見る】 大阪に残る最後の一等地として、2002年から開発が始まった「うめきた地区」。2013年にまちびらきした〈グランフロント大阪〉の西に位置し、着々と開発が進目られているのが〈グラングリーン大阪〉である。今年9月にはうめきた公園と北街区のノースタワーが先行開業。2025年春頃には南街区が、2027年度には全体のまちびらきが予定されている。 注目すべきは大阪を拠点に活躍してきた安藤忠雄が設計監修した〈VS.〉(設計・監理:日建設計)と、SANAAによる大屋根。
敷地に突如現れるガラスとコンクリートの2つのキューブからなる建造物〈VS.〉は、テクノロジーとリベラルアーツ、伝統的な文化と新しい発想など、国内外の多様な文化を結びつけ、訪れる人々や社会にインパクトを与える文化装置として機能する。 「15mの天井高を持つ大展示空間を作ることになったものの、ここは公園が中心で大事なのは緑。そこで建物のほとんどを地下に埋め、少し出っ張ってしまったコンクリートは緑で覆ってしまおうと」と安藤は振り返る。
ライフワークのひとつとして大阪の緑化に取り組み続ける彼にとって〈グラングリーン大阪〉はどう映るのか。 「敷地の1/2が緑というのは日本はもちろん、外国でも珍しい。今度はみんなが木を育てるという気持ちを持つと、この公園はさらによくなる。2年も経ったら森になる。そこに彫刻が点在する。意表をついたものができて、大阪に行ってみようと思ってもらえるんじゃないかな」
かつて大阪駅北側には梅田北ヤードがあり、中心となる梅田貨物駅は1928(昭和3)年に作られて以来、2013(平成25)年まで85年にわたり関西の物流を支え続けてきた。大阪最後の一等地といわれる一帯の再開発は2002年から始まり、2013年に先行開発区域として〈グランフロント大阪〉がオープン。それに続き、うめきた2期地区として開発が進むのが〈グラングリーン大阪〉である。敷地の半分にあたる約45,000平米もの〈うめきた公園〉を中心に、自然と都市とが融合する新たな街は約4割が先行して開業。2027年度の全体まちびらきを目指して、着々と準備が進められている。 2023年3月にはかつて貨物駅があった場所にJR大阪駅(うめきたエリア)が開業し、大阪駅南側の旧大阪郵便局跡には〈KITTE大阪〉も登場した。大きく変化を遂げる大阪・キタにあって、〈グラングリーン大阪〉はその中核を担う存在だ。