「営業マンは現場へ行け」で目が覚めた…給食の定番デザート「アップルシャーベット」をつくる福島の会社。赤字で倒産危機のなか、介護食に“大胆進出”して遂げた復活
―食の課題、ほかにはどんなことが気になっていますか? 先日友人の働いている介護施設を訪れたら、お餅を提供していてびっくりしました。「大丈夫なの?」と驚いたのですが、施設長から話を聞いてみると年配の方はお餅が大好きな方が非常に多いそうで。 みんなおいしそうにお餅を食べていたのがすごく印象的でした。好きなものをおいしく食べることは人を元気に、幸せにしますよね。そこで実現可能かはわからないのですが「歯が弱くても食べやすくて、喉に詰まらせずに食べられるお餅をうちで作れたらたくさんの人に喜んでもらえるのではないか」と思いました。
このお餅の話に限らず食の課題は私たちの日常にゴロゴロ転がっています。 ■45億の生産能力を次世代に残したい ―今後の展望をお聞かせください。 お客様の近いところで商売をしたいとECサイトや道の駅、ファミマさんでの販売を始めましたが、最終的には実店舗のデザートショップを運営できたらと考えております。それが一番お客様に近いですし、福島にはトーニチというデザートを作る会社があることを知っていただけるのではないかと。お客様との接点をもっと伸ばしていきたいなと思っております。
あと、2034年を目標に、30億円の製造工場の生産能力を45億円に拡大する計画を進めています。私が入社したころは赤字続きでしたが、おかげさまでなんとかやってこられて、次は次世代にこの事業を残していくことを考える段階になってきました。 次世代に残すうえで、戦えるための武器を残したいという考えがありまして、その武器というのは物を生産する能力だと考えています。ただし、以前10億の製造工場を30億規模と約3倍に拡大したときは経営が苦しくなったので……。取締役メンバーで慎重に検討して1.5倍の45億だったら大きすぎる借金にもならず、固定費も急激に増えすぎず、次世代につなげられるだろうという話になりました。
同時に食の課題解決はこれからも注力していきます。高齢化が進む中で必要とされる介護食や治療食、そしてアレルギーのお子さんにも食べていただけるデザート、おいしく食べてもらえるように作っていきたいと思っています。 ■ギャラリー
横田 ちえ :ライター