このままでは中小企業の大半がもたない…「大量倒産の危機」が「2030年代」に迫る理由
経営者の高齢化や事業承継問題……日本の多くの企業が直面している深刻な問題だ。倒産や廃業の直接的な原因となることも珍しくない。 【写真】このままでは中小企業の大半がもたない…2030年に迫る「大量倒産の危機」 そうした問題の現実的な解決策として、「M&A(企業の合併・買収)」が注目されている。「敵対的買収」のイメージもつきまとうM&Aが、なぜ中小企業の「希望の光」になるのか。M&Aクラウド代表取締役CEO・及川厚博氏にくわしく話を聞いた。
「タイムアップ」が迫る現実
「特に地方では後継者問題が深刻で、事業承継ができずに廃業するリスクが増えています。M&Aは、企業存続と雇用を守るための現実的な解決策です」 株式会社M&Aクラウドの代表取締役CEO・及川厚博氏はこのように語る。日本企業では、経営者の高齢化や事業承継の問題が年々深刻化している。M&A(企業の合併・買収)はこれまで、大企業が成長するための手段として認識されていたが、今では中小企業にとっても考慮すべき選択肢となった。特に中小企業における後継者不足は深刻で、M&Aは事業拡大に限らず、企業を存続させるための方法として重要性を増している。 中小企業庁が発表した「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題(2019年)」によると、2025年までに70歳以上となる中小企業・小規模事業者は約245万人に達し、そのうち約半数の127万人が後継者未定という深刻な状況だ。さらに、帝国データバンクが2023年に行った調査によれば、全国の後継者不在率は53.9%となっており、依然として半数以上の企業が後継者問題に直面している。 この問題が日本経済全体に与える影響は非常に大きい。中小企業・小規模事業者の廃業がこのまま急増した場合、2025年までの累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性が指摘されているのだ。M&Aが企業存続の「最後の手段」として注目される中、対策が遅れると、あなたの会社も次の「廃業」リストに載ってしまうかもしれない。刻一刻と時間は迫っている。