「子どもの歯並び」は何歳までに治すべき? 保護者必見“小児矯正のチェックポイント”を歯科医が解説!
永久歯への生え変わりで保護者が注意したいポイントと将来的なリスク
編集部: 乳歯から永久歯に生え変わる時期に、保護者が気をつけて観察しておきたい点はありますか? 櫻木先生: まずは、永久歯の生える順序や位置を注意深く観察してください。例えば、永久歯が生えてきたのに乳歯が抜けず、歯列が二重になってしまうことがあります。自然に解消されることもありますが、長期間続くと歯並びに影響する可能性があるため注意が必要です。 編集部: そのほかに、注意すべき点はありますか? 櫻木先生: 永久歯が生えるスペース(すき間)が足りない場合も要注意です。永久歯の生える位置がずれていたり、歯がねじれて生えてきたりする場合は、スペース不足の可能性があります。このような状態は、自然に改善しにくいので、歯列矯正でスペースを確保する必要があります。したがって、少しでも気になる点があれば、気づいた段階で歯科医に相談しましょう。 編集部: 歯並びが悪いと、子どもの健康や発達にも何かしら影響が出てしまうのでしょうか? 櫻木先生: 歯並びの悪さは、子どもの健康や発達に様々な影響を及ぼす可能性があります。最も分かりやすいのは、見た目への影響です。歯並びの良い子どもとそうでない子どもを比べた場合、やはり歯並びが良い子どもの方が見た目は整っているのは否めません。 編集部: 見た目以外には、どのような影響が考えられますか? 櫻木先生: 健康面においても、大きな影響があります。まず、歯並びが悪いと歯磨きが難しくなるため、将来的に歯周病やむし歯のリスクが高まるでしょう。その結果、大人になってから歯を失うリスクも相対的に上昇します。さらに、噛み合わせが悪くなってしまうと、食べ物を噛みにくくなったり、顎の関節に不調が出たりする可能性もあります。
子どもの矯正治療は何歳から? 子どものうちに矯正を始めるメリットとは?
編集部: 子どもの歯並びは、何歳から治療できるのでしょうか? 櫻木先生: 治療の内容によって開始年齢は異なります。例えば、受け口の治療であれば3歳から始めることもあります。受け口は舌の位置や呼吸の仕方などが影響するため、早い時期に対応することで、早期の改善が期待できます。 編集部: では、そのほかのケースはいつ頃始めるのがおすすめですか? 櫻木先生: 歯列を広げて永久歯の生えるスペースを作る治療は、およそ7歳頃から始めるのが一般的です。主に「拡大床」と呼ばれる装置を使用して治療します。ただし、歯並びの状態や治療の種類によって適切な開始時期が異なるので、具体的な時期については詳しい検査を受けた後、保護者と相談しながら決定しています。 編集部: 矯正治療が必要と判断された場合、子どものうちに治療しておく方がいいのでしょうか? 櫻木先生: 可能であれば、子どものうちに矯正治療を始めた方がいいと考えます。子どもの時期は成長が著しいので、その成長を利用して治療できるメリットがあります。 編集部: 具体的に、どのようなメリットがあるのでしょうか? 櫻木先生: 子どものうちに矯正を始めると、将来的に大人の矯正が必要になっても、歯を抜かずに済むケースがほとんどです。仮に大人の矯正をしなかったとしても、重度の歯のガタつきを軽度で済ませられる可能性も高くなります。さらに、治療期間を短縮できたり、費用負担を抑えられたりするメリットもあります。ただし、経済的な面で難しい場合もあるので、ご家庭の状況に応じて検討することが重要です。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 櫻木先生: 子どもの歯並びについて少しでも気になることがあれば、まずは歯科医院に相談することをおすすめします。子どもの現状や発達段階を知り、今後の対応を理解しておくことは非常に大切ですし、相談だけならそれほど費用もかかりません。専門家に相談することで、治療のタイミングや必要性をしっかりと見極めることができるでしょう。ぜひ本記事を参考に、子どもの健やかな成長のために、早めの相談と適切な対応を心がけていただければと思います。