私がゲイを公表して働く理由。セールスフォース社員「もう同じ思いはしてほしくない」
変わる世論。同性婚7割が賛成
一方で、婚姻の平等を取り巻く世論は変わりつつある。 同性婚に賛成する朝日新聞の世論調査(2024年2月に実施)では、同性婚が「認められるべきだ」が7割を超えた。また同性婚訴訟を巡っても、2024年4月、札幌高裁が同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定に対して「憲法違反」と判断するなど、司法の踏み込んだ判決も出てきている。 相場さんの周りには、同性婚ができないために養子縁組を結ぶことで家族になる道を選ぶゲイのカップルも少なくないという。 「違憲判決はうれしいですが、彼らのなかには、親子(養子)になりたいのではなく、男女と同じように結ばれたいという声も少なくありません。 いま私はセールスフォースで働いており、会社として私達の活動をサポートし、会社として情報発信してくれる立場にいます。 個人でできることは限られていますが、企業というプラットフォームを使うことでできることがあります。これからも活動を続けていきたい」
2026年に「女性・ノンバイナリー」4割目標
セールスフォースの共同創業者、マーク・ベニオフ会長兼CEOが「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」と強調しているように、セールスフォースでは企業の責務として、組織の多様性に対して先進的な取り組みを続けている。 アメリカの従業員の50%以上は、全従業員における多様な人材の構成比率が不十分なグループ(女性、黒人、ラテン系、先住民、多人種、LGBTQ+、障害者、退役軍人)が占めており、また2026年末までに全世界で女性およびノンバイナリーの従業員の割合を40%にする目標を掲げる。 一方で、G7の中では唯一、婚姻の平等が認められていない日本の現状について、日本および韓国での平等に関する施策の責任者を務める、セールスフォース・ジャパン Office of Equality Directorの蓮見勇太氏は「日本はLGBTQ+に関して、耕す畑が多い状況だと思っている」と言う。 「実際問題として、グローバルな観点から人材に活躍してもらう環境面での課題がある。 日本で働くときのパートナーのビザ問題や入院時の面会、住宅を借りる際の問題などがあり、日本で働くこと自体、躊躇するケースがある。 こうした現状に対して会社として社会にインパクトを与えたいと考えており、またそれはセールスフォースの企業の役割であるとも思っています」(蓮見氏)