舌がん「完治」の堀ちえみさんが仕事復帰までの道のり語る―ネクストリボン2024
◇イベント ダイジェスト【2】
自身のブログで2024年2月に舌がんの完治を報告した歌手・タレントの堀ちえみさんは、2019年に罹患を公表。タレントとして社会復帰を果たしてからは、がん早期発見の重要性を訴えるなど積極的に啓発活動を行ってきた。がんとの共生社会を目指す「ネクストリボン2024~がんとの共生社会を目指して~」イベントリポートの第2回は、堀さんの特別講演と、がん経験者の立場からがんという病気の捉え方や周囲の方に望むことなどを話し合ったパネルディスカッションの模様をダイジェストでお届けする。(全4記事の2)
◇第1部 特別講演「舌がんステージ4からの仕事復帰! 未来はより輝いて見える」
堀ちえみさん(歌手・タレント) 2019年2月に舌がんの手術を受け、舌の6割以上を切除して太ももから組織を移植した。早期発見できればこのような大変な思いをしなくてもよかっただろう。私は口の中にもがんができることをまったく知らなかった。口内炎だと思い込んで、リンパ節に転移するまでまったく気付かなかった。もし知識があれば、半年以上痛みが増したり、静まったりを繰り返している状態は普通の口内炎ではないと気付いて、もっと早く大きな病院に行けたと思う。 がんの告知は冷静に受け止めることができたと思うが、手術を受けた後は自分の顔と舌の状態、自分が置かれた状況に嘆く日々だった。15歳でデビューしてから芸能一本で生きてきたので、この先どのように生きていけばよいのかと困難に直面した。過去の行動の何がいけなかったのか、自分を責めてばかりいた。しかしある時「命があれば何でもできる」という言葉が空から落ちてきてスイッチが切り替わった。悩んでばかりいても始まらない。今の自分を受け入れ、これからどうすればよいか考えられるようになると、リハビリを頑張って社会復帰し、皆さんの前で話をしたり欲を言えば歌も歌ったりしたい――という自分の本当の気持ちに気付くことができた。将来のことを考え、前を向いたとたんに心が軽くなった。 一方で、もう1人の自分が「そんなことは不可能だよ」と思うこともあり、とても苦しんだ。そんな時、娘が「お母さんが無理だと思ったらもうそれでおしまいだよ。無理に社会に出る必要はないけど、お母さんがやりたいと思うのならやったほうがいい」と背中を押してくれた。今の自分の話し方は以前と違って恥ずかしいと思ったら、一生人前で話をすることはできない。これが今の私だと皆さんに受け入れてもらうところから始めなければいけないけれども、頑張って言葉で何かを伝えよう、自分にできることをこつこつとやっていこうと考えている。