日本企業の「後継者不在」、2024年は52.1% 調査開始以降で最低値も、改善ペースは鈍化傾向
全国「後継者不在率」動向調査(2024年)
全国の全業種約27万社を対象とした2024年の後継者動向を調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業は14.2万社に上った。この結果、全国の後継者不在率は52.1%となり、23年から1.8ポイント(pt)低下した。7年連続で前年の水準を下回ったほか、コロナ前の19年に比べると13.1ptも低下するなど改善傾向が続いた。 事業承継に関する官民の相談窓口が全国に普及し、プル・プッシュ型の各種支援メニューも拡充されたことで、従前は支援対象として手が届かなかった小規模事業者にも門戸が広がった。自治体や地域金融機関などの支援機関が事業承継を呼びかけるアナウンス効果も加わり、事業承継の重要性が広く認知・浸透したことが、後継者不在率の改善に大きな影響力を発揮したとみられる。他方で、前年からの改善幅はコロナ禍以降では2020年に次いで2番目に小さく、後継者不在率の改善ペースは鈍化傾向がみられる。
近時は経営環境の急激な変化により事業承継を中断したケースや、現代表者による後継者選びの見直し、あるいは後継者候補だった人物の辞退や退社といったケースなどもみられる。2023年調査と24年調査の後継者策定状況が比較可能な企業で、後継者が「不在」だった約9万社の動向をみると、23年以降に代表者交代を行ったことで後継者を決めていない「承継直後」が3.1%、23年時点では後継者候補がいたにも関わらず24年に後継者不在となった「計画中止・取りやめ」が全体の2.7%となった。 年代別にみると、「計画中止・取りやめ」の割合は「40代」「50代」で2%台と低位な一方、「70代」では後継者不在のうち4.3%が、「80代以上」では全国平均の約2.6倍にあたる7.0%に拡大した。事業承継が中断・頓挫した要因は多岐にわたるものの、高齢での事業承継では中断・白紙といったリスクがより高い傾向にある。 2024年の後継者不在率は、代表者年代によって動向が分かれた。全年代で最も減少幅が大きかった「70代」(28.5%、1.3pt減)など高齢層で減少が続いたほか、「30代」(81.8%、1.1pt減)など若年代表者でも後継者不在率が大幅に低下した。一方で、「50代」は3年ぶりに、「60代」では連続した比較が可能な2016年以降で初めて悪化に転じた。