「半導体ではどの国も独立は不可能」 欧州3社のCEOが強調
欧州最大規模のエレクトロニクス展示会「electronica 2024」がドイツ・ミュンヘンで開催中だ。会期は2024年11月12~15日まで。60周年となることしは50カ国以上から約3500の社/団体が出展し、業界の最新製品/技術などが紹介される。開幕前夜にはInfineon Technologies、STMicroelectronics、NXP Semiconductorsという欧州の主要半導体メーカー3社のCEO(最高経営責任者)らによるラウンドテーブルが行われ、各氏がAI(人工知能)への期待や欧州で低迷する電気自動車(EV)市場への見解などを語った。 Infineon TechnologiesのCEOを務めるJochen Hanebeck氏は、Infineonでは「We power AI, We enable AI, We use AI(われわれはAIを動かし、AIを可能にし、AIを活用する)」と掲げ、同社の有する製品群/テクノロジーで広くカバーしていることに言及。その上で、特に現在最大の機会として「AIへの電力供給」を挙げた。同氏は、NVIDIAによる72基のGPUを搭載したラックスケールシステムの消費電力が120kWに達するなどしていることから、計算パフォーマンス低下を避けるためにも電力効率向上の需要は大きいとし、「われわれは『グリッドからコアまでAIに電力を供給する』として、AI向けビジネスが今後2年間で前年の4倍となる10億ユーロ規模にする予定だ」と語っていた。 STMicroelectronicsのCEO、Jean-Marc Chery氏も同様に、AIサーバ用の各種デバイス提供によるビジネス展開の他、エッジAIについて強調。「われわれはAIをビジネスのイネーブラーとして考えている。B2C(Business to Consumer)でもB2B(Business to Business)でも、あらゆるデバイスや用途でAIは必須となってくることから、明らかに巨大なビジネス機会を開いている」とした。NXPのCEOであるKurt Sievers氏も、「コンピューティングコアを持つ全てのデバイスは将来的にAI対応になるだろう。そして、NXPの事業の半分以上はマイコンやマイクロプロセッサだ」とし、特にエッジAIへの期待に言及。「データセンターで実行されている最初の大規模言語モデルの波があり、それが第2の波としてエッジAIにも波及していくだろう。そして、それはNXPのビジネスの中心にある」と述べた。