日本企業の「後継者不在」、2024年は52.1% 調査開始以降で最低値も、改善ペースは鈍化傾向
業種別:全産業で不在率60%を下回る 調査開始以降で初
業種別では、2011年以降の調査期間で初めて、7業種すべてで不在率60%を下回った。24年の不在率が最も高かったのは「建設業」(59.3%)だが、過去最も高かった18年(71.4%)に比べて12.1pt、前年比でも1.2pt低下するなど改善傾向が続いた。 最も低いのは「製造業」(43.8%)で、現状のペースで改善が進んだ場合、2020年代に不在率40%を下回る可能性がある。製造業では自動車産業をはじめ、サプライチェーン(供給網)を構成する企業の事業承継問題が全体の供給網に影響を及ぼしかねないとの認識が広がっており、重点的な支援が行われてきたことも、後継者不在の改善に大きな役割を果たしたとみられる。 業種をより細かくみると(中分類)、最も不在率が高かったのは自動車ディーラーなど「自動車・自転車小売」の64.9%となり、住宅建築などの「職別工事業」(63.0%)、病院・診療所(クリニック)など「医療業」(61.8%)が続いた。不在率が60%台となったのは上位5業種のみ。最も不在率が低いのは「金融・保険業」(34.1%)だった。
「事業承継問題」警鐘に大きな成果
コロナ以前から官民一体となって推し進めてきた事業承継への啓蒙活動や支援が中小企業にも浸透・波及し、後継者問題に対する代表者側の意識改革が進むなど、後継者問題への取り組みは一定の成果を上げている。他方で、後継者不在率の低下幅は前年に比べて縮小するなど、改善ペースには鈍化の兆しがみられる。代表者の交代のほか、当代での店じまいを決断した高齢代表者など事業承継を望まない層も多く、後継者不在率は50%前後で当面推移する可能性がある。