日本企業の「後継者不在」、2024年は52.1% 調査開始以降で最低値も、改善ペースは鈍化傾向
都道府県別:「三重県」が4年連続で全国最低水準 「秋田県」が72.3%で全国最高水準
都道府県で最も不在率が低いのは「三重県」で34.1%だった。2021年以降、4年連続で全国最低水準となった。「地域金融機関などが密着して支援を行っていることに加え、経営や商圏が比較的安定している企業も多い」などの理由から、同族内で経営を引き継ぎやすい環境が整っていることなどが背景にある。同県では18年にピークとなる69.3%を記録して以降、不在率の急激な低下がみられたものの、22年を境に上昇傾向にある。この他、不在率が全国平均(52.1%)を下回る都道府県は23に上った。 後継者不在率が全国で最も高いのは「秋田県」で、全国平均を大幅に上回る72.3%だった。同県が全国で最高となるのは2011年の調査開始以降で初めて。不在率が70%を超えたのは秋田県と、2023年に全国で最も高かった「鳥取県」(70.6%)の2県のみだった。後継者不在率の高い地域では、総じて同族承継などファミリー経営の企業が多く、親族以外の第三者に経営権を移譲することへの抵抗感が依然として根強いケースも少なくない。また、後継者候補となる若年層が都市部へ流出するなど経営人材の不足が深刻化しており、地域経済の活性化に課題を抱える地域などで影響が大きかったとみられる。2011-20年の調査まで一貫して全国で不在率トップだった「沖縄県」(65.3%)は低下が続き、全国5番目の水準となった。 後継者不在率が60%を下回る都道府県は37となり、前年(35)を上回って過去最多を更新し、全国的に後継者問題は改善傾向にある。ただ、前年から不在率が低下した都道府県は36と前年と同水準で、改善度合いは地域によって濃淡もみられる。最も不在率の低下幅が大きかったのは「滋賀県」(2023年:52.9%→2024年:45.9%、7.0pt減)、最も上昇幅が大きかったのは「三重県」(同30.2%→34.1%、3.9pt増)だった。