“泥酔車破損事件”のWBC世界王者・寺地拳四朗にJBCが下した出場停止3か月&制裁金300万円の処分は本当に甘いのか?
すでに被害者との示談が済んでおり事件化はしていないが、「プロボクシングの社会的信用を著しく棄損する行為。現役の世界王者としてボクシング界を代表する立場にありかつ他の選手の模範となるべき存在であるにも関わらず飲酒、酩酊し迷惑行為に及んだことの責任は重い」との理由で今回の処分が下された。 300万円の制裁金は前例がないほど重いものだ。 ただ示談となり事実関係の詳しい確認が困難であることや、予定していた8度目の防衛戦が中止になるなどの“打撃”を受けていることもあり、ライセンス停止の期間については、WBC王座が剥奪される可能性が少ないように情状酌量され3か月になったとみられる。 この日、JBCで処分通達を受けた寺地は会見を開き、「たくさんの方にご迷惑をお掛けし大変申し訳なく思っています。JBCの処分を本当に真摯に受け止めたいと思っています。これからは自分自身を見つめ直して一つずつ信頼を取り戻したい。そしてまた品格のある人になりたいと思いました。お酒は自分の体に合わないと思ったのでやめました。世界チャンピオンとして本当に恥ずかしい限りです」と深く謝罪。断酒することを誓った。 この処分は重いのか、軽いのか。 JBCの安河内剛事務局長は、「(処分の)軽い重い(の評価)は皆さんの判断に委ねるが、現役の世界チャンピオンであることを非常に重く考えた。示談にもなっており事件化されてはいないとはいえ現役の世界チャンピオンの地位は重いと思うので、これぐらいの処分になった」と説明した。 寺地も「これが重いか、軽いかは僕からは何とも言えない。与えられた処分を真摯に受け取るしかないな、と思っています」と答えた。 ネット上でファンから「甘い処分」だと指摘される理由のひとつに2年前のWBC世界フライ級タイトルマッチで王者の比嘉大吾(25、Ambition GYM)がウエートオーバーで計量失格となった際にライセンスの無期限停止処分を受けた事例との比較がある。停止処分は1年5か月で解かれたが、片や減量失敗で無期限で、片や示談で事件にならず人を傷つけていないとはいえ、世界王者が飲んで暴れるという問題を起こして、「たった3か月の停止処分ではおかしい」との指摘である。 2007年に亀田大毅氏が内藤大助氏とのWBC世界フライ級タイトルマッチで、投げ飛ばすなどの危険な反則行為を繰り返した際の処分も1年間のライセンス停止処分だった。