百花繚乱のウイスキーを楽しめるボトラーズの世界
ウイスキーをバーで飲んでいて、「ボトラーズ」という言葉を聞いたことはありませんか? 瓶詰め業者、つまり「ボトラー」が詰めたウイスキーという意味で、蒸留所やウイスキーメーカーが出している「オフィシャル」とは異なります。今回は、このボトラーズ・ウイスキーの基本と魅力をご紹介します。 【写真】おすすめの飲み方はストレート。ダグラスレインというボトラーズの「OLD MALT CASK」シリーズ、「ポートエレン18年」
■蒸留所から原酒を買って自社で瓶詰めするボトラーズ 蒸留所が自ら製造・販売する商品はオフィシャルボトルと呼ばれます。流通量が多く、ラベルやパッケージが統一され、名前を聞くだけで味わいがイメージできるでしょう。アルコール度数は40~50%ほどに加水調整されているものが主流です。 一方、インディペンデント・ボトラーズと呼ばれる独立した瓶詰業者は、蒸留所から樽ごと原酒を購入します。自社の倉庫で熟成を続行させ、その後に瓶詰めを行い、独自のラベルで販売します。そのため、蒸留所や既存のウイスキーブランドのイメージに縛られず、自由な発想でウイスキーを作ることができます。 例えば大手蒸留所の原酒を用いたとしても、加水調整せずに樽出し(カスクストレングス)で提供するなど、独特のアプローチができます。樽出しはアルコール度数が60%前後と、とても高くなるのですが、そのパンチの効いた美味しさにハマる人も多いのです。 オフィシャルシリーズでは使っていない樽に詰め替えて熟成させることもあります。熟成年数もボトラーズが自由に決められるので、12年18年25年以外の年数表記も多く、色々と楽しめます。もちろん、オフィシャルでは見られない、超長期熟成することもあります。さらには、オフィシャルのシングルモルトウイスキーを販売していない蒸留所の樽がボトラーズから販売されることもあります。 ボトラーズが蒸留所から購入できる樽の数は限られているので、1製品当たりのボトル本数は数十本から数百本と、とても少ないのも特徴です。1樽から1製品を瓶詰めするシングルカスクも多く、同じ製品に将来出会う可能性は低い一期一会のウイスキーと言えます。