樋口恵子 私がヨタヘロの身でイベントに足を運び続ける理由とは。たいした仕事はできずとも、これから先を生きる方に「頑張ってくれ~!」とエールを送りたい
NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんによる『婦人公論』の新連載「老いの実況中継」。91歳、徒然なるままに「今」を綴ります。第15回は、【善意の活動にエールを】です。(構成=篠藤ゆり イラスト=マツモトヨーコ) 【写真】「嫁姑問題を避け、自立しようと健気に生きてきたのに思いがけない成行きが…」と話す樋口さん * * * * * * * ◆若い人と思いを共有できた全国大会in大阪 ヨタヘロが進み、なにかと不自由が多い今日この頃。それでも昨年は頑張って、10月に私が理事長を務める「高齢社会をよくする女性の会」の第42回全国大会に出席しました。 全国大会は、地方の支部が「来年は私たちがやりま~す」と手を挙げてくれることで、開催が可能になります。2023年は「高齢社会をよくする女性の会・大阪」の30周年イベントとして、大阪の皆さんが1年かけて準備してくださいました。ですから大げさではなく、這ってでも行かねばという思いで、その日に向けて体調を整えていたのです。 この歳での遠出はけっこう大変ですが、水戸黄門と行動を共にする助さん格さんよろしく、頼りになる助手が2人付き添ってくれます。おかげで無事、新幹線とタクシーを乗り継ぎ会場の大阪経済大学に到着。 オープニングでは大学生による吹奏楽の演奏に合わせて、樋口恵子作詞の替え歌「手のひらを太陽に」をみんなで大合唱しました。
◆大阪まで出かけて、本当によかった 実はヒグチさん、替え歌を創るのが大好き。この歌も、自分としては“名作”のひとつと思っています。大学時代に合唱サークルに入っていたくらいですから、歌うのも好き。若い人たちの演奏に合わせて声を張り上げているうちに、移動の疲れも吹っ飛びました。 なにより嬉しかったのは、若い人たちと場を共にできたことです。 高齢社会の問題を若い人たちに引き継ぐため、大阪のメンバーは準備から当日の運営支援まで、大学事務局や学生ボランティアと力を合わせてきたのです。また、加齢によって聞こえづらくなった会員のため、「要約筆記」を用意するなど、さまざまな新しい方法論が模索されました。 大会は2日間開催され、基調講演、シンポジウム、交流会、5つの分科会などのプログラムが順調に進みました。 それにしても、みなさん本当に頼もしい! こうやって全国各地で地道に活動をしておられる方々がいるのかと思うと、感慨もひとしおです。大阪まで出かけて、本当によかったと思いました。
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