沖縄で遺骨を掘り続けて40年 戦没者想う気持ちに「右も左もない」 遺骨収集団体・具志堅さん
都市開発前に「遺骨収集を」
具志堅さんの活動にスポットライトが当たったのは、2008年ごろ。幼少期に頭蓋骨を見つけた真嘉比地域に都市開発計画が持ち上がったときだ。「遺骨があることが分かっている場所。開発が進めば取り返しがつかない」 積極的にメディアに露出して訴えたところ、国会議員を通じて舛添要一厚生労働相(当時)と面談することに。趣旨を伝えると、緊急雇用創出事業を使って実現したらどうか、と逆提案された。結果、県内でホームレスの支援を行う団体と共同して真嘉比で遺骨収集を実現し、わずか数か月で172体も収集することができた。 厚労省とはその後も共同し、DNA鑑定で遺族のもとへ遺骨を返す取り組みも行っている。
身体の半分がない
沖縄本島南部で見つかる戦没者遺骨の共通点は、上半身しかない、下半身しかないなど、1人分の骨がまとまっていないケースが多いことだという。「1人分の骨が揃って見つかることを我々は『完全体』と呼んでいるが、南部ではあまりない」 これは攻撃によって半身が吹き飛んだ結果である可能性が高く、沖縄戦の凄惨さが残された骨からも伝わるという。
遺骨混じりの土砂で辺野古埋め立て「やめて」
具志堅さんはいま、気がかりなことがある。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古沿岸への移設に伴う埋め立てに、遺骨が混じった土砂が使われようとしていることだ。 埋め立てには県内の土砂が使われることになっているが、うち一部が糸満市など本島南部から採取されることになった。「ある日、遺骨収集をしていた場所の周辺の木が伐採されていた」のだという。 普天間飛行場の辺野古地区への移設や、辺野古沿岸部の埋め立ては県内でも意見が割れる。具志堅さんが土砂問題を提起すると、「辺野古反対」の立場の人々がまず活動を応援してくれたと言う。しかし具志堅さんは、土砂問題は政治的立場を超えた問題だと訴える。 「私も辺野古移設は反対。戦争につながるものは全て反対だから」と自らの考えを明確にした。 一方で、遺骨が混じる土砂が埋め立てに使われることについては「本当は(政治信条が)右とか左、辺野古移設賛成・反対の問題ではない。埋め立てに使われることは戦没者の尊厳が損なわれようとしているということ。(埋め立て主体の)防衛省も前身は日本軍であり、その先輩らの遺骨が、当時の敵軍の基地を作るために使われようとしている」とし、辺野古移設に賛成する人々にも共感してもらいたい、と語った。