【インタビュー】平野ルナ選手~反対されても決めたST600参戦。その道は世界の舞台につながっていた~
平野選手によると、現時点で、日本の女性レーシングライダーは減少傾向にあると言います。一方、将来的に600cc以上のマシンを走らせる女性レーシングライダーが誕生する可能性を感じてもいるようです。 「年齢的なものもありますが、結婚や就職などで、全日本は今年、(女性ライダーが)一気に減ってしまいました。女性は男性と比べて、体の違いで大半の方は長くできない。衰えるのは女性の方が早いと思うんです。全日本でも、長く続けている方もいますが、30、40歳まで続けるのはすごく難しいことです。それから、今の全日本ではどんどんメカニック不足が深刻になっていて、そこがネックなんだと思います。速い女の子を育てられる余裕のあるチームが、そもそも少ないんです」 「今は、MiniGPでも女の子が走っていますよね。わたしたちのときよりも、いい土台ができています。うらやましいです。MiniGPの存在は大きいと思います。若い時からたくさん競い合って……、わたしは高1くらいからでしたけど、体格によっては、もしかしたら中学校くらいから大型に乗れるライダーが出るかもしれないですよね」 「この選手権(WCR)は18歳から参戦できます。18歳になったらこの選手権に出るんだ、と思ってもらえたら嬉しいです。そうしたら、日本のバイク業界の状況も変わっていくんじゃないかな、と思います」 そう語る平野選手は、やはり穏やかな口調でした。けれど、その内にどこか熱がこもっているように感じられたのは、気のせいではないはずです。 平野選手は、WCR開幕戦エミリア・ロマーニャのレース1を14位、レース2を16位でゴールしました。特にレース1では転倒が多発する状況でしたが、2レースでしっかりと完走。経験値を積み、さらにポイントを獲得してWCRの初戦を終えています。 世界へとつながった道を、平野選手は走り続けます。 ■平野ルナ選手(1999年10月17日生まれ) 2016年: つくばロードレース選手権ST600 参戦 第52回NGK スパークプラグ杯 鈴鹿サンデーロードレース ST600 9位 2017年: つくばロードレース選手権ST600(ナショナル・フレッシュマン)ランキング4位(優勝2回) もてぎロード選手権ST600 ランキング6位(優勝1回) 鈴鹿4時間耐久ロードレース 総合14位 国内クラス7位 2018年: 全日本ロードレース選手権 ST600 フル参戦開始 2019年: 全日本ロードレース選手権 ST600参戦 鈴鹿8耐参戦 EWC第2戦セパン8時間参戦 2020年: 全日本ロードレース選手権ST600参戦 2021年: 全日本ロードレース選手権ST600参戦 2022年: 全日本ロードレース選手権ST600参戦 鈴鹿8耐参戦 2023年: 全日本ロードレース選手権ST600参戦 鈴鹿8耐参戦
伊藤英里