ブラジル人と朝までビリヤードin浜松
27時間ビリヤード
多田哲馬
静岡県浜松市は全国でも有数のブラジル人が多い街である。もちろん彼らは日本で働くために来ているのだが、わき目もふらずに働き続けているわけではないだろう。つまり彼らは彼らなりにアフター5を楽しんでいると思うのだが…。 意外と彼らの余暇を調べたデータが見つからない。彼らだって余暇を楽しんでいるだろうに。 漫画喫茶に網を張り、彼らの余暇のひとつを彼らと一緒に体験した。
私は浜松にほど近い愛知県豊橋市で学生時代を過ごした。アルバイト先は漫画喫茶だった。 漫画喫茶は愛知県で生まれたといわれている。そのせいかどうか、愛知から浜松にかけての漫画喫茶はダーツ、ビリヤード、カラオケを付属させた充実型が多いように見える。 学生時代、バイト先の漫画喫茶で印象的だったのが実はブラジル人だ。彼らは漫画喫茶によく現れた。そういえば何をしに来ていたのだろう。ブラジル人と漫画喫茶。一見無関係な組み合わせだが、気になってしようがない。とりあえず、漫画喫茶時代の旧友と連絡をとった。 旧友の話によると、浜松近辺の漫画喫茶ではダーツが人気らしい。しかしブラジル人はダーツはあまりやらず、ビリヤードをしていると教えてくれた。 旧友はある漫画喫茶の店長に連絡をつけてくれた。店長の話だと、その店には数グループのブラジル人がビリヤードをしに来るらしい。だいたい夜に来ることが多く、金曜あるいは土曜の夜の場合は長時間遊ぶ。なんと27時間ぶっ続けでビリヤードをやり続けていたこともあるという。なぜブラジル人はそれほどビリヤードが好きなのか。 店長にお願いした。もし店にブラジル人が来たら連絡してくださいね。 それは翌日(金曜)の夜21時だった。ブラジル人が2グループ来たよ、と連絡が入った。取材はNGだと言っているそうだが、行ってしまえば説得できるかもしれない。 急いで店に行くと、日本人と似たような顔をしたブラジル人が6人いた。2グループいたが、彼ら同士は顔見知りのようで、ポルトガル語で会話をしていた。店に設置してあるビリヤード台6台のうち、4台を借りていた。日本人の楽しみ方だと6人程度でも1台しか借りないことが多いので、贅沢な使い方だ。といっても漫画喫茶では1人あたりの滞在時間で課金される。つまり何台借りようが料金は一緒だ。