ブラジル人と朝までビリヤードin浜松
取材NG
話を聞かせてくれ、と日本語で取材の交渉をしてみた。身長180cm超、がっちりした体格の怖そうなリーダー格が「ダメだ」と怖そうに言った。理由をよく聞くと、日本語を話すのが上手ではないことと、ビリヤードの練習の邪魔をされるのが嫌だということだった。 と言われても、こちらだって引き下がれない。なにせ東京から来ているのだ。ほかに取材する当てもない。思い切って頼んだ。「一緒にビリヤードをさせてくれ」 少し怖かったが、言いたいことは口に出してみるものだ。1人だけ「OK」と言ってくれた。ナインボールをした。50歳代か60歳代に見える小柄な男性で、ビリヤードがとてもうまかった。ビリヤードはポケットに球を入れた人が続けて球をはじく。球はほとんど彼が入れてしまい、私は毎回2つくらいしか玉を入れることができなかった。
あまりにも力の差があったので、一人で練習してくれと言われてしまった。情けない。私はビリヤード台を借り、一人で練習しながら話をする機会をうかがうことにした。彼らは1対1でエイトボールをやっていた。 ブレイクショットの勢いがすごかった。エイトボールではポケットに入れたい玉をコールし、1打ごとミスをすれば交代し、入れることができれば引き続き打てることになっているが、1人あたり5、6回は交代せずに打っている。つまりほとんどの確率で狙った玉を狙ったポケットに入れることに成功していた。ちなみに私は偶然玉がポケットに入る程度のレベルだ。彼らはマイキューを保持しており、1人あたり3本程度持っているようだった。たまに遊びに来るレベルではない。普段からかなり練習しているということがわかる。 私は彼らがドリンクを取りに行ったりトイレに行ったりするタイミングをとらえて話しかけようとした。が、なかなかうまくいかない。ちなみに漫画喫茶では食べ物の注文ができ、品数は豊富なのだが、彼らはプレイしている時間中一切注文しなかった。私は漫画を読みつつ練習しつつ、彼らのプレイの様子を見ていた。1時間も練習していると腕が疲れてしまった。 彼らはずっとプレイしていた。1対1でプレイし、残りの1人は別の台で練習していた。彼らは戦績表をつけながらやっていた。朝4時くらいになって1人が帰った。その後からちらほら帰っていった。帰るタイミングで話を聞いてみた。やっと返事してくれた! 彼らはこの辺りの工場で部品の組立の仕事をしており、日本に来たのは20年前だそうだ。