「グルコサミンはひざ痛に有効」にエビデンスなし…たった5秒「魔法のひざトレ」で痛みが改善するワケ
■ひざの痛みにはサプリよりも食事と運動 家にいるときには、ベッドなどで仰向けになったり、横向きに寝たりした姿勢で、脚を伸ばしたまま、上げ下げするだけのトレーニングがあります。ひざには負荷がかかりません。多忙な現役世代のビジネスパーソンが仕事中でもできる、イスに座って、伸ばした脚を上げ下げする体操もあります。 それらのトレーニングは、片脚10回ずつを1セットとして、1日3セット行うようにしてください。歩くのが苦にならない場合は、散歩など軽い運動を無理のない範囲でトライしてみましょう。プールでは浮力があるため、ひざへの負担が軽く、「水中ウオーキング」もお勧めです。 運動を1週間続ければ、ひざの痛みが緩和されたのが実感できるはず。できれば1~3カ月続けましょう。ひざ痛はかなりの改善が見込めるでしょう。ただし、ひざに腫れなどの炎症を起こしている場合、無理して運動をしないで患部を冷やしましょう。また、運動してもひざ痛が改善しない場合、医療機関を受診しましょう。 医療機関での変形性膝関節症の治療は、運動療法に加えて薬物療法やヒアルロン酸注射などが代表的です。病気が進行してこれらの治療で痛みが改善しない場合は、「人工関節置換術」のような手術を行います。 運動と併せて、食事にも気を付けましょう。食べる量を減らす一方で、脚の筋肉増強につながる「高たんぱく低カロリー食」を摂るように心がけましょう。ちなみに、グルコサミンやコンドロイチンといった、ひざの軟骨成分のサプリメントも出回っていますが、ひざ痛に有効とのエビデンスは今のところ、明らかになっていません。 ご紹介した運動法や食事法を実践して、ひざ痛を改善し、ぜひ快適な毎日を過ごせるようにしてください。 ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年12月13日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 中川 匠(なかがわ・たくみ) 帝京大学医学部附属病院整形外科教授 1966年生まれ。1992年、東京大学医学部卒業。専門分野は整形外科学、特に膝関節疾患、スポーツ整形。膝関節専門外来でも診療を担当。NHK Eテレ「きょうの健康」出演。監修書に『 NHKきょうの健康 痛み解消! ひざ体操』(NHK出版)、『 ひざの痛みを自力で解消する』(扶桑社)がある。 ----------
帝京大学医学部附属病院整形外科教授 中川 匠 構成=野澤正毅 撮影=石橋素幸