「グルコサミンはひざ痛に有効」にエビデンスなし…たった5秒「魔法のひざトレ」で痛みが改善するワケ
例えば、若い頃からサッカーやバレーボール、マラソンなどひざを酷使するスポーツに打ち込んでいた人は、ひざの軟骨の消耗も早く、60代からひざ痛に悩む人も少なくありません。一方、長年の普通の生活の中で脚を使ううちに、ひざの軟骨が徐々に摩耗することは誰にでも起きる可能性があります。 しかも、軟骨は骨と違って、簡単には再生しません。軟骨には血管が通っていないので、軟骨再生のための栄養補給が難しいからです。したがって、加齢とともにひざの軟骨が減るのは、「一種の老化現象」とも言え、避けられないと考えてもよいかもしれません。 ■軟骨がほとんどなくても歩ける人がいるワケ とりわけ、女性の場合、60代では60%、70代では70%、80代では80%と年齢に比例して、ひざの軟骨が減っている人が多かったという調査があります。女性は、男性よりも筋肉量が少ないのが、その要因と推察されます。 実は、この「筋肉」がキーワード。筋肉がひざの関節を守り、ひざ痛を防ぐのに役立つ名プレーヤーなのです。 X線でひざの関節を撮影してみると、高齢で軟骨がほとんどないのに、「ひざ痛を感じない」という人もよくいます。そうした人の場合、日頃から適度な運動に取り組み、脚の筋肉が発達しているケースが大半。脚の筋肉にも体重を支える働きがあり、ひざの関節に負担がかかりすぎないように、サポートしているというわけです。 運動によって脚の筋肉量が増えれば、ひざの関節への負担も軽くなり、ひざ痛も起こりにくくなると言えます。 運動によってひざ痛を防げるのにはもう一つ、大きな理由が考えられます。それは、肥満の解消です。 肥満は、ひざの関節にとって大敵。太っている人のほうが、ひざ痛になりやすいということが明らかになっています。なぜなら、ひざは立っているとき、体重を支える必要があるからです。 例えば、歩いているときには体重の2.5倍、階段を上り下りするときには体重の3倍以上の荷重が、ひざにかかると言われています。太れば太るほど、ひざへの負担が重くなり、ひざの軟骨も減ってしまうのは当然と言えるでしょう。反対に、運動によって体重が減れば、ひざへの負担が軽くなるので、ひざ痛も軽減するのです。 ところが、ひざ痛の肥満の人は、脚を動かすとひざが痛くなるので、運動を避ける傾向にあります。そうすると、カロリーが消費されないので、ますます体重が増え、ひざ痛もひどくなるという、悪循環に陥ってしまうわけです。 とはいえ、ひざ痛の患者さんに運動を勧めると、その効果について多くの人は半信半疑だと思います「ひざの痛みを我慢しながら、無理に運動して余計に痛みが悪化しないだろうか」と、疑問を抱く人も多いでしょう。 でも、ご安心ください。ひざ痛を感じることなく、脚を強化し、筋肉を増やす運動法があるのです。その効果は、すでにエビデンスが世界的に認められ、変形性膝関節症の診療ガイドラインにも、運動療法として掲載されています。