平野レミ「最愛の人の不在は、息子にも嫁にも穴埋めできない」。悲しくても「好きなこと」をして、“私のまんま”で生きてきた人生哲学《インタビュー》
――1982年に刊行されたものが、今年3月に復刊されたんですね。 レミ:まさか、和田さんが私のことを本に書いてるなんて思いませんでした。私のことをどう思ってるのか全然わからなかったけど、面白がって書いてますね。うれしかったなあ。この本は私の宝物です。 ――レミさん、ご存じなかったとは。 レミ:だって何も言わないんだもの! 無口で無口でさ。私が和田さんのこと好きだっていうだけで、私のこと好きだなんて(和田さんが言うのは)聞いたことないし。みんな幸せ感は違うと思うけど、私は和田さんが喋らなくたって、黙ってそこにいてくれるだけでよかったの。 ――和田さんが仕事や趣味の映画のことなどを、イラストを交えながら面白おかしく綴られています。本が残っていると、今でもそばにいてくれるようですね。
レミ:そう。私の話が載ってると、心の中に和田さんがよみがえってくるんです。うちには和田さんの書いた本がいっぱいあるから、ちょっとずつ読んでます。本のなかでまた和田さんに出会えるのは嬉しいですね。
我が道をゆく女たちのさっぱりとした関係
――レミさんには、自分のまんまで生きてきてよかったことがたくさんありそうですね。 レミ:もう全部良かったんじゃない? 嫁だっていいヤツらですよ。昨日は(上野)樹里ちゃんから電話がかかってきて1時間半も話を聞いてました。私くたびれちゃったわよ(笑)。 ――樹里さんに誘われてSUP(スタンドアップパドルボード)に行ったエピソードも面白かったです。 レミ:そうそう。泊まりでSUPに行って。だけど前日の夜にワインを飲んだらさ、夜風に吹かれて気持ちいいから飲みすぎちゃって。じゃあホテル帰ろうかって2人で歩いてたら、私がつまずいて転んで、ヒザが血だらけになっちゃったんです。樹里ちゃんがホテルで治療してくれたのね。次の日、ケガもあるし、帰るのかと思ったら、「レミさん、私はSUPするから、ここからタクシーで帰ってね」って樹里ちゃんに言われちゃって。私、ひとりで帰ってきちゃいました(笑)。でも樹里ちゃんには悪気も何もないの。SUPをやりたいからやっちゃうだけ。 ――それぞれが我が道を歩んでいて。お互いに気が楽でしょうね。 レミ:そう、とても気が楽です。私が食べものでも持って行ったら、樹里ちゃんがいらないときはいらないって言うし。私も「ハイハイすみませんでしたねェ」って言ってね。いつもそんな感じね。 ――(和田)明日香さんも樹里さんと同じようにはっきりとおっしゃるタイプなんですよね。 レミ:そうです。あーちゃんも、私が何かあげようとすると「それ、いりません」って、見もしないで言っちゃうの(笑)。 ――和田家は女性たちがさっぱりと元気が良いんですね(笑)。息子さんたちは、和田さんに似ているところがあるんでしょうか。 レミ:2人とも和田さんのいいところをもらってるよね? マネージャー:どっしりと構えているところは、2人の息子さんも同じですね。女性たちも、ワーッて言うけど旦那さんをちゃんとリスペクトしてるのが、夫婦関係がうまくいく秘訣じゃないですか? レミ:そうね。ケンカも言い合いも、何もないの。言い合いするような事柄がないからね。