AIで「もう一人の自分」が仕事を代行 生産性2倍以上を実現した企業が予測 2030年の働き方
AIクローンと協働する「メリット」と「リスク」
小村氏への取材を通じてわかった、AIクローンとの協働における具体的なメリットとリスクは以下となる。 ■ メリット ・ 労働生産性が高まる ・人間の働き方を改善しやすい ・部署間をまたぐようなオープンなコミュニケーションが活発化する ・オープンな意見が集まりやすい ┌────────── AIは効率化の文脈で語られることが多く、それは事実なのですが、今までになかったコミュニケーションが生まれるメリットも挙げられます。たとえば、社内アンケートも人間が取り仕切ると空気を読んだような回答が集まりがちですが、AIを窓口にして匿名で実施すれば、今までにないオープンな意見が出てくるかもしれません(小村氏) └────────── ■ リスク ・推論ベースで過度な提案をすることがある ・オブラートに包まない ・時にミスをする
┌────────── 約1年間の運用でリスク面も明確になりつつあります。AIは人間と同じで『推論ベース』で回答しているので、たとえば、『〇〇の提案をください』というリクエストを受けた際に、『明日までに資料を作成して送付します』などと言い切ることがあります。これは「過去にその人がそう対応した場面」をAIクローンが学習しているためで、時に人間側の状況を踏まえず対応可能なことを“当たり前”としてAIが回答するリスクがあります。 また、AIには“配慮する”ことが難しく、調整しない限り、学びをそのままアウトプットします。例えば、過去に『オルツのメンバーを紹介してください』とリクエストしたときに、退職したメンバーの説明をしたことがありました。当社で使っているSlackで、該当メンバーが自己紹介をしており、AIはその内容を学習していたためです(小村氏) └──────────
上記の事例も踏まえ、「AIは人間と同じように間違えることもある」ということを認識しておくことが重要だと小村氏は言及した。 ┌────────── 「旧来のデジタルツールはルールベースで動いているため、アウトプットが正確であるものが大半です。それが大多数の人の習慣として根付いていますが、推論をして回答を導き出す現状のAIは各リクエストへの対応でミスをすることもあれば、漢字の読み方を間違えることもあります。現状では、AIは人間が最終判断を下すための支援ツールとして協働化を進めていくことが重要だと考えています(小村氏) └────────── このようなリスクさえ認識できていれば、AIクローンは誰より強力なアシスタントになりそうだ。2030年には、AIクローンとの協働が当たり前になっているかもしれない。