新潟に残る爪痕 地震と津波と液状化…育った家は「全部撤去」 【能登半島地震】
元日の能登半島地震は、石川県のみならず、新潟県でも大きな被害をもたらしました。地震と津波、そして液状化―――。発生から2か月がたちながらも、道路や建物など、手つかずのまま、その爪痕を残す場所も多く残されています。 【映像で見る】液状化の瞬間 道路が水が漏れ出て…あたり一面の泥水
■「これはただごとじゃ済まない」
能登半島地震の発生で忘れられない日となった2024年の元日―――。その時、新潟でも、多くの被害がおきていました。 新潟・上越市で、港に迫る津波の動画を撮影したのは、高校1年生の高原楽歩(がくと)さんと父・一歩(かずと)さんでした。 高原一歩さん 「まさか、あの高さを超えてくると思っていなかったので」 「車も通り人もいたので、大きい声で叫んで、『津波きてるよ!』『早く上がれ!』と叫んだと思う」 地震が起きたのは家族4人、リビングで過ごしていた時でした。 高原楽歩さん 「人生で経験したことのない揺れで、これはただごとじゃ済まないなと。少し覚悟をしましたね」
■時速350キロメートル 新幹線よりも速く…
午後4時12分、テレビから聞こえてきたのは「津波警報」を伝える声。その1分後には、すぐに家の外に飛び出しました。 高原一歩さん 「(家から)出てこられていない方もいらっしゃった」 「私はとにかく大声で『津波来るよ』ということを伝えながら、まずとにかく旧学校の玄関を目指しました」 一歩(かずと)さんは近所に避難を呼びかけながら、100メートル先の避難場所へと走りました。 午後4時14分、避難場所に到着すると、玄関の前にはすでに数人の姿がありました。カギを管理する住民も到着していましたが、焦りからか開けることができませんでした。 高原一歩さん 「もう時間がないと思って、ブロックを投げてガラスを割ったんです」 撮影された動画から、この地域に津波が押し寄せたのは遅くとも午後4時34分。 高原一歩さん 「本当にくるんだ、と。津波って」 「今回以上に高い津波がきたときに、もっと早く到達したときに、どうしようと考えなければいけない」 第一波が到達した時間が上越市で19分、糸魚川市では8分で到達していた可能性があるといいます。 長岡技術科学大学・犬飼直之准教授 「津波が伝播するスピードは水深だけで決まってくる」 「だいたい時速350キロメートルくらい。新幹線よりも速いスピードで伝播(でんぱ)している」