けがや病気で会社を休まなければいけない 無給の間の生活が心配…保障する仕組みはあるの?
社会保障のきほん
身近な「社会保障」に関するテーマを、Q&A方式で分かりやすく解説します。 【表】うつ病にならないために、やめておきたい七つのこと
Q 病気で会社を休まなければなりません。この先の生活が心配です。 A 会社員など雇われて働く人が業務に関係のない病気やけがで仕事ができなくなり、勤務先から給料が支払われない場合、傷病手当金を受け取れます。大企業の健康保険組合や、中小企業の社員向けの協会けんぽ(全国健康保険協会)など自身が加入する医療保険から支給されます。無給となる間の生活を保障する役割があります。
通算1年6か月まで
Q いくらもらえますか。 A 賃金に応じて決まります。休む前の1年間の平均賃金(日額)の3分の2を、休んだ日数分だけ受け取れます。働けなくなって4日目から、通算1年6か月までです。障害が残った場合は、公的年金制度によって、障害年金を受け取れます。短期的には医療保険の傷病手当金、長期的には障害年金が生活を保障する仕組みになっています。 Q 傷病手当金は利用されていますか。 A かつては、がんやうつ病などになると離職する人が多かったのですが、医療の進歩や仕事と治療の両立の考え方が広がり、休んでから復帰する人が増えています。これに伴い、傷病手当金の支給も増加しています。2021年度の支給件数は264万件で10年前の1.6倍となり、支給総額は5029億円となりました。
長期なら障害年金
Q フリーランスで働く人や自営業者も受け取れますか。 A フリーランスの人らが加入する国民健康保険からは原則、支給されません。もともと、家族で協力し合って生計を立てる農林漁業者が多く加入していたため、「休み」という考え方がないからとされています。ところが、最近は、加入者に占める農林漁業者の割合が減り、フリーランスの人やパート、アルバイトなど非正規雇用の人も目立ちます。コロナ禍では、感染して仕事を休んだ加入者に対し、国の財政支援をもとに傷病手当金が支払われたケースがありました。働き方が多様化する中、支援の是非が国会で取り上げられたこともあります。 Q 仕事が原因で病気やけがをした場合はどうなりますか。 A 労災保険から傷病手当金よりも手厚い所得補償が受けられます。