ドライバー不足、路線廃止、自動運転! 崖っぷち「バス業界」は本当に変われるのか? 2024年を総括する
連節バスの全国拡大と業界の進化
効率的な運行を目指して、バン型の車両を使った運行が進んでおり、狭い道路を走行するバスも増えている。 従来の大きな箱型バスだけで事業を継続することが難しくなっているという状況も強まっている。そのため、路線バス停と住宅地を結ぶラストワンマイル支援事業として、東急バスのシェアサイクルや小型モビリティシェアといった新しいサービスが登場している。バス事業の厳しい状況から、新たなサービスが生まれている。 最後に、新しい技術の普及である。 ●新しい技術の普及 2024年には、ひとりで多くの乗客を運べる連節バスが各地で増加した。これまでは神奈川中央交通の湘南台地区や京成バスの幕張地区などに限られていたが、現在では全国的に導入されるようになっている。また、車両選択肢も外車だけでなく、国産連節バスの量産車が登場し、整備面でもハードルが下がったことで、業界全体の後押しとなっている。 さらに、純粋な給電式の電動バスも増加しており、特に中国製のものが多く導入されているが、国産の電動バスも販売が進んでおり、今後の広がりが期待されている。そしてAIの進展により、自動運転バスの実証実験が進んでいる。バス事業は、40代で年収400万円台の人でも支出が厳しい状況にあり、コスト削減のため自動運転への期待が高まっている。オンデマンド運行を含むAI技術の進化が、バス事業の支えとなり始めている。
柔軟運行と新ビジネスの可能性
路線バス事業は、2024年問題によって人手不足や給与資金の不足が顕在化している。しかし、バス事業者と地方自治体などが連携し、事業継続に向けた新たな取り組みが進んでいる。特に、DXやAIの活用が進み、オンデマンドバスや自動運転車両といった新しい技術の導入が加速している。また、高速バスや貸切バスの復活があれば、業界の未来に明るい兆しをもたらす可能性がある。 現在、路線バス、高速バス、貸切バスの運営が人手不足の影響を受け、優先順位を付けなければならない状況だ。この課題を解決するためには、高速バスや貸切バスへの公的支援を通じて、業界の利益増加や資金循環を促進することが有効だと考えられる。 特に地方部ではモータリゼーションが進み、柔軟な運行が求められている。例えば、朝夕の時間帯のみ定時運行し、昼間はオンデマンド方式に切り替える、タクシー型車両を使った効率的な運行など、従来の枠にとらわれない新しいアプローチを試す必要がある。バス停でのマイクロモビリティや自転車との接続、貨客混載などの新しいビジネスモデルも、今後本格化すると予想される。 現在の苦境のなかでも、バス業界には新たな兆しが見えてきている。2025年には業界が常識を破り、従来にはない柔軟な施策を試す姿勢が求められるだろう。これからの変革により、事業改善のヒントが得られるはずだ。 バス業界の現状を読者はどう考えるだろうか。公民連携とともに、生活者の参画がバス業界の改善に向けて重要だ。生活者を含めた共創が、今後の路線バス作りには欠かせない。私たち生活者も積極的に参画していきたい。
西山敏樹(都市工学者)