机の上のサイエンス。/ウッドオパール
珪化木化したオパールの神秘的な標本。
樹木の化石である「珪化木」。普通、樹木は分解されてなくなってしまうが、たまたま地中に埋まったものが化石化することがある。まず周囲の圧力によって地下水などに含まれる珪酸などが細胞の中に入り込み、これが二酸化珪素となって化石化するのだ。さらに、その二酸化珪素が水と混じり合って偶然オパール化することもある。そんな偶然が重なって生成されるのが、このウッドオパールである。こうして1㎝のオパールが形成されるのに、約500万年の月日がかかるともいわれている。オパールは二酸化珪素と水が混ざり合い固まっていく過程でできた「粒子」が集まっている状態で、他の鉱物のように元素同士が結びついて結晶化しているわけではない。そのため、この粒子がプリズムのような役割を果たし、光をそれぞれで反射するのだ。この粒子のサイズによって色が変わり、小さいものから紫、青、緑、黄、オレンジ、赤となる。赤の粒子まで成長するのは稀なため、赤を発色するオパールは非常に高価なものとなる。 自然や科学の世界に潜む、息をのむような機能美を身近に感じるためのエトセトラを紹介。
photo: Akira Yamaguchi text & edit: Shogo Kawabata 2024年9月 929号初出
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