激戦ミシガン州のアラブ票、ガザ政策と家族観で二分 トランプ氏攻勢
5日に投票日を迎える米大統領選の勝負を分けるのはわずかな激戦州だ。その一つミシガンにはアラブ系米国人が多く、バイデン政権の中東政策の影響が注目されている。政権中枢にいながらパレスチナ自治区ガザの惨禍を止められないハリス副大統領(60)への失望に加え、保守的な家族観を持つ層にトランプ前大統領(78)が浸透。勝敗を左右しうる争点となっている。 【写真】一番の激戦州「米国の縮図」ペンシルベニア 赤から青へ記者が歩いた ミシガン州デトロイト都市圏のディアボーンはアラブ系の人口比の高さで知られる。トランプ氏は1日、この街の飲食店を訪れ、歓声を受けてこう語った。「戦争を終わらせなければいけない。欲しいのは平和だ」。10月末に州内で開いた集会で、地域のイスラム教指導者らと登壇したのに続くアピールだった。 アラブ系米国人は全人口の1%程度、ミシガンでも約30万人で3%程度に過ぎない。だがその動向は、接戦のミシガンでは相当の重みを持つ。2016年の大統領選では、ミシガン州でトランプ氏がクリントン元国務長官に競り勝ち、1992年から続いた民主党の連勝を断ち切った。この際の票差はわずか1万。20年はバイデン大統領が15万票差でトランプ氏を下した。激戦7州の中でも、ハリス氏にとっては絶対に落とすことができない州だ。英誌エコノミストは、ハリス氏がミシガンで敗れれば勝率は「100回戦って4回」の水準まで落ちると試算する。
朝日新聞社