南シナを意識?「衝突せず対抗せず」中国がトランプ氏に送った祝電
総じて、米中関係がどうなるかは米国の新政権がどのような方針を打ち出すかにかかっていますので、今後のことはまだ不透明ですが、米中両国間の経済的な相互依存関係は非常に深くなっています。中国との関係が悪化すれば米国経済にも影響が出てくるでしょう。トランプ新政権としては経済的相互依存関係を十分考慮した政策を打ち出す必要があります。 トランプ氏は中国のことはよく分かっていると言ったことがあります(2016年3月21日付『ワシントンポスト』)。しかし、それは個別の取引のことです。それは経済問題のごく一部に過ぎません。 米中の経済関係は日本にとっても密接な関係があります。要するに、日米中の間には相互依存の関係があります。トランプ氏の発言からは、米国の利益を重視するあまり、保護主義的な傾向が強くなることがうかがわれますが、保護主義は日中両国のみならず米国自身にとっても不利益なはずです。日本も中国もその点では新政権が狭い保護主義的な姿勢を強めることがないよう働きかけることが必要です。
------------------------------- ■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹