オーストラリアがイラクに再び兵を送る理由
イギリスやアメリカ、オーストラリアなどのアングロサクソン圏を意味する「アングロスフィア」(Anglosphere)という言葉があります。その中で共通の安保・外交観を持つことが、歴史の短いオーストラリアにとって国のアイデンティティーになっているのです。オーストラリアの大手企業や資源権益の多くにイギリスやアメリカの資本が入っていて、互いに利益を共有しているという経済的な要因もあるでしょう。 アメリカの世界での地位が低下していると言われる中で、オーストラリア国内のリベラル派の中には「アメリカと中国は力を分け合うべきだ」(オーストラリア国立大のヒュー・ホワイト教授)といった主張もあります。オーストラリアはアメリカか中国のどちらかを選ぶべきだという意見です。しかし、遠い将来はどうなるか分からないにしても、少なくともアングロサクソン系が多数派を占めているうちは、アメリカ、イギリスとの一蓮托生が続きそうです。 (守屋太郎/日豪プレス特約)