私大の5割強が定員割れでも日本社会に根付く「学歴至上主義」…もはや「4大卒」はブランドでもなんでもない
大学の新設と少子高齢化が進み、日本は「大学全入時代」に突入した。新進気鋭の学歴研究家・じゅそうけん氏は、「四年制大学を卒業したというだけでは全く価値を見出せない時代になった」と話す。大学受験の現状と、そんないまだからこそ考えたい大学進学の意義について、じゅそうけん氏が語る。全4回中の2回目。 ※本記事はじゅそうけん著「受験天才列伝――日本の受験はどこから来てどこへ行くのか」(星海社新書)から抜粋、再構成しています。
学生に「きていただく」ための入試
私大バブル期は、受験生人口に対して大学の募集枠が少なく、「入りたい大学より入れる大学」とすら言われていましたが、平成・令和の時代になると状況が一変します。 少子化で受験生人口が頭打ちになるのは目に見えているにもかかわらず、大学の新設が相次ぎ、受験者数を大学定員が上回る「大学全入時代」が到来したのです。 今や学力選抜(一般入試)で一定以上の学力を持つ学生を確保できるのは、国立大学と一部の私大のみではないでしょうか。偏差値がある程度下がってしまうと、「学生に来ていただく」ための入試となり、事実上形骸化しているというのが現状でしょう。 文部科学省はこの30年、大学の新設を次々と認可してきました。第二次ベビーブーム(1971年~1974年)以降、日本の出生数は減少の一途を辿り、少子化が進んでいくのは目に見えていたのに、そんな流れに逆行するかのように大学の数は増えていきました。2024年現在では約800の四年制大学が存在しています。 1989年(平成元年)の大学数は499校でしたが、2023年には810校となっているので、平成から令和の30年あまりで約300校が新たに開校したことになります(年間10校ペース)。 こうした大学乱立の主因として、「大卒資格」の需要が急激に増加したことが挙げられるでしょう。 給料が高く、安定した会社に勤めるためには、「大卒であること」が必要であるという共通認識が生まれ、平成以降に大学入学の同調圧力が一気に高まったと言われています。 企業側も積極的に大卒者を求めるようになり、大学の本来の目的から乖離した「就職予備校」としての機能が大学に求められるようになっていきます。実際、私が以前勤めていたM銀行もそうでしたが、大企業のエントリー欄は四年制大学卒業見込み者でないと入れないところがほとんどです。 こうした民間企業側の動きもあって、大学であればどこでも良いと考える層も一定数発生してしまい、名前を書けば入れると言われる「Fランク大学」*の乱立を招きました。大学によっては、入学後に分数や漢字の書き取りのおさらいテストを20歳前後の学生にさせるところもあるようです。これでは一体なんのための大学なのかわからないですし、こうした「とりあえず四大」派の人は専門学校などで手に職をつけた方が良いと感じるのは私だけでしょうか。 *大手予備校が作成する偏差値表において、偏差値35未満に位置する「ボーダーフリー大学」のこと
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