「妻の忠告は聞かないけど、外部の意見は聞く夫に溜息…」妻の言葉が耳に入らない夫にモヤモヤが止まらない【漫画家に聞く】
同僚から聞いた洗濯の知識を「やってみてよ」と妻に語る夫。けれど、それは当の妻が何度となく夫に伝えてきたことで……。 【漫画】本編を読む 「はんなりギロリの頼子さん」「閃光少女」などの作品で知られる漫画家・あさのゆきこ(@YUKIKOASANO)さんが、自身のXに「私が100回言っても聞かないのに他人が言うと一発」というコメントとともに投稿した創作漫画「聞いてないの正体」は、妻に歩み寄ろうとする夫の言動が、反対に妻の話を聞いていないことを浮き彫りにするという一幕を描いた作品だ。 X(旧:Twitter)への投稿時、読者から「すっっっごい共感しました」「無茶苦茶わかります」と多くの共感を集めた同作。あさのさんがコミックゼノン(コアミックス)で連載していた「お母さんの正体 ハルカママの言えない本音」の第2話にあたるエピソードで、同作では母であり妻であるハルカママの言葉にこめられた本音と、それを受け止められない夫の日々の噛み合わないやり取りをさまざまな場面から切り取っている。作者のあさのゆきこさんに、作品の成り立ちやリアルなすれ違いのアイデアについて話を聞いた。 ■ 夫婦であるかぎり、モヤモヤは尽きない ある日、夫の脱いだ服を見ると裏返しになっていない。これまで何百回と「脱いだら表にして!」と言ってきた妻は、「やっと私の話が伝わった」と喜ぶ。お礼を言うと、夫は同僚に教えてもらったという洗濯のコツを妻に話す。それは妻が何度となく言ってきた内容だった!妻は「なんで今初めて『いいこと教えてやる』みたいになってるの?」と愕然。外部の意見だと聞く夫に溜め息が漏れた。 「コミックゼノンの担当編集者さんとWEB向けの漫画を描くということで、どんなものがいいか相談しました。今もそうですが、当時もかなりのウエイトを占めていた『母になって感じる夫へのモヤモヤ』というテーマでやろうということになったのがきっかけです」と、あさのさんは同作の生まれた背景を振り返る。 「モヤっとする場面はほぼ実体験です。連載を始める打ち合わせのときにモヤモヤするシチュエーションを箇条書きにして出せるだけ出して、編集者さんとどれを使うか選んでいった感じです。選ぶ基準はできれば育児中の夫婦の問題の鉄板のものといった感じでした」と、あさのさんの「モヤモヤ」体験の基に描いたと語る。 同作では母であり妻の本音を描く一方、夫側なりの理屈も描かれ、相手にも考えがあるという目線が一貫している。その理由については、「それは多分ですが、担当編集者さんが既婚子持ち男性であまり女性側の言い分に偏った話が描けなかったのだと思います」と担当編集者のサポートが大きかったと語る。 最後に読者へ向けて「読んでいただいてありがとうございます!話題にしていただけるのを見るに、夫婦と育児は永遠のテーマなんだなぁと思います」と感謝の気持ちを語った。 取材協力:あさのゆきこ(@YUKIKOASANO)