“宿題廃止”から1年半…「勉強しなくなる」は本当か?ある小学校の挑戦で起こった変化
保護者からの好意的な声が生まれつつある
宿題廃止当初あった保護者からの反対意見も、児童数500人ほどの中で5、6件まで減少しました。 「当初は、勉強しなくなる、学力が低下するといった声に加えて、『校長の自己満足では?』といったご意見もいただいていました。最新のアンケートでは、子どもが楽しそうに勉強しているといったプラスの声が、確実に増えました」 子どもに好きなことを追究させる大切さを理解する声や、宿題に追われず親子で伸び伸びと夏休みを過ごせたことを喜ぶ声も寄せられたといいます。 「保護者世代は詰め込み型の教育が当たり前だった世代。宿題廃止を理解しづらい部分があって当然だと思います。家庭学習相談会などを実施し、個々の疑問や意見に丁寧に向き合うことはこれからも続けていきたいと思います」
「?」を持ち続けられる子どもを
宿題廃止から1年半。当初学力低下を懸念する声もありましたが、対外的な学力テストの結果は、例年の傾向と大きな差はなかったそう。 改革はまだ始まったばかり。自ら考え、主体的に学ぶ子どもを育成するうえで、課題は2つあると浅井校長は指摘します。 「授業の質の向上は非常に重要です。授業がつまらなければ、もっと知りたいという意欲は生まれません。『なんで?』と知的好奇心を刺激する疑問を抱かせる質の高い授業をこれからも追究していきたいと思います」 もう1つの課題は、1割ほどいる家庭学習ができていない子どもを、いかにサポートするかだといいます。 「さまざまな事情や環境で、勉強したくてもできない、家庭でのサポートも得にくいというケースがあります。誰も取り残さないために、学校ができるサポートの在り方を考えていかなければなりません」 予測困難な社会を生き抜くためには、自ら考え、主体的に学び行動することが必要不可欠。これまでとは違う社会に向かうからこそ、これまでどおりでは立ち行きません。学校の「当たり前」を変えていく、同校の今後の取り組みにも注目です。
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