「大学受験地図が一変する…」東洋大学の「常識を覆す」新しい学校推薦選抜に教育現場が揺れるワケ
「2科目の学力試験」「併願可能」学校推薦の常識を覆す選抜方式
年明けに実施される一般選抜は学力評価であるのに対し、「年内入試」と呼ばれる総合型選抜や学校推薦型選抜は、受験生を多面的に評価するための選抜方式だ。出願条件として調査書のほか、前者には「志望理由書」や「課題レポート」の提出が、後者には出身校での学業成績やスポーツ、文化活動の実績による学校長の推薦書が求められる。選抜試験では、小論文やディスカッション、プレゼンテーション、学科によっては実技などが課された後に面接が行われ、年内に合否が決まるのが一般的だ。 調査書と願書さえ提出すれば誰もが受験できる一般選抜に対し、年内入試を受ける受験生は、教科学習以外にも自分で設定した課題に平素から取り組む必要がある。ゆえに、指導する高校の教員にとっても、受験生ごとに個別対策が必要となる「手間のかかる入試」なのである。 アロー教育総合研究所が行った高校教員対象の調査では、進路指導の「悩み事」として「年内入試の指導の難しさ・労力」を挙げた教員が約8割に達している。年内入試は「受験勉強が要らない入試」というイメージが強いが、その一方で、志望理由書の作成、小論文、プレゼン、面接がとにかく苦手という受験生も一定数いる。 25年度から実施される東洋大学の「学校推薦入試基礎学力テスト型」の場合、「学校推薦」でありながら選抜試験は「英語と国語」もしくは「英語と数学」の2教科の学力試験のみで行われ、プレゼンや面接は行わない。首都圏の大規模な大学では初の試みとなる。 11月1日~8日の出願時には、調査書のほか学校長の推薦書が必要だが、評定平均値などによる出願資格は設けない。また、既卒生も受験できる。さらに、一般的な学校推薦型選抜は、合格すると必ず入学する専願制だが、「基礎学力テスト型」は、東洋大学の複数の学部・学科(専攻)や一般選抜など他の入試方式、あるいは、他大学との併願が可能であるなど、これまでの学校推薦型とは一線を画す内容となっている。 極端なことを言ってしまうと、一般選抜向けの受験勉強をして、英語と国語または英語と数学のテストで合格点を取れば、年内に東洋大学の入学キップが手に入るという仕組みだ。なお、受験に関する詳細については同大学の入試情報サイトを参照していただきたい。