歌舞伎町で1人感染者が出ると…… 大都市歓楽街発コロナ、地方・高齢者へ
政府は29日、有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会を開いた。会議後、メンバーの一人で歓楽街における感染防止対策を担う東京都立駒込病院・今村顕史感染症科部長は記者会見し、「ここ最近は国の中での人の移動が増えているので、これがまた地方への拡大のきっかけになる可能性がある。大都市の歓楽街をきっかけに多方面に広がるリスクが高くあるのは間違いない」と訴えた。 西村康稔(やすとし)経済再生担当相も、東京・大阪・名古屋・福岡の各繁華街で1人感染者が出た場合、一定期間後に周辺の都道府県にどの程度感染が伝播するのか、分析結果を公表した。
年齢・場所を超える感染
今村氏は「大都市の歓楽街で感染拡大が把握されたあと、それをきっかけに感染が色んなところに広がることが分かっている」と切り出した。「色んなところ」とは何を指すのか。 1つは年齢層を超えた感染。軽傷・無症状の若年層が無自覚のうちに家庭や職場にウイルスを持ち込むことだ。今村氏は「ここで年齢層が高くなっていく。それによって重症者が増えやすくなってしまう」と語る。 2つ目は地域的な広がりだ。「東京の中でも、小さな繁華街はいろんな場所にたくさん存在している。そういうところに広がる可能性がある。あるいは地域的な面として拡大することがある」とし、都内外を問わず感染地域が広がっていくと述べた。
歌舞伎町で1人感染すると……
西村担当相は(1)東京・歌舞伎町(2)愛知・栄(3)大阪・ミナミ(4)福岡・中州――の大都市歓楽街4か所で1人感染者が出た際、一定期間後に何人がその周辺地域で新たに感染するのかを分析した結果を公表した。その結果、周辺県に少なくない影響が出る可能性があることが分かった。 この分析に当てはめると、例えば歌舞伎町を抱える新宿区で1人感染者が出た場合、33日後に新宿区を除いた都内で7.8人が新たに感染する予想。隣接する千葉、埼玉、神奈川の3件も、35~41日後に1人以上が感染する見通しで、西村担当相は「首都圏に大きな影響を与える」と述べた。 同様に、愛知・栄を抱える名古屋市、大阪・ミナミを抱える大阪市、福岡・中州を抱える福岡市でも1人が感染すると、県内の他地域や近隣県で感染者が出る予想となった。