なぜ森保監督は三笘が発信した「チームに約束事が必要」のSOSに「彼自身が戦術」と“禅問答”のような答えを返したのか?
28人を招集した6月シリーズは、GK大迫敬介(22、サンフレッチェ広島)や故障明けのDF冨安健洋(23、アーセナル)、怪我で離脱したMF守田英正(27、サンタ・クララ)とDF菅原由勢(21、AZ)を除いた24選手が起用された。 「サッカーは1人変われば流れが変わり、3人変わればチームが変わる難しさがある」 持論を展開した森保監督は、キャプテンのDF吉田麻也(33、サンプドリア)とアンカーの遠藤航(29、シュツットガルト)以外の9人をすべての試合で入れ替え、さまざまな組み合わせを試した4試合を「ストレス」という言葉を介して振り返った。 「(一戦ごとに)課題を設定して、状況も変えた。極端に言えば毎回ゼロに戻して、そこから積み上げてほしい形を取ったなかで、選手たちは本当にストレスになったと思う」 ここでも残念ながら認識にずれがある。選手が変わってもチーム内で約束事が設けられていれば、ピッチへ送りだされた選手がストレスを抱える状況も生じない。 トータルで12回の練習を積めた6月シリーズはミーティングも含めて、約束事を設定できるワールドカップ前で最後のチャンスだった。しかし、森保監督の視線は選手に経験を積ませる作業に向けられ、特に攻撃面は選手個々に丸投げされた。 オンライン取材対応後には、次回の国際Aマッチデー期間中の9月23日に、アメリカ代表と強化マッチを行うことが正式に発表された。試合会場はヨーロッパで設定されていて、もう1試合の対戦相手も最終的な調整に入っている。 9月19日から27日までの次回活動を終えれば、カタール大会へ向けて与えられる時間は開幕前の数日だけとなる。三笘が発信した危機感も奏功せず、自ら口にした「戦術・三笘」を介して限界を露呈した感のある森保監督に率いられる日本は、実際に戦う選手たちで独自に作り上げるコンビネーションや連携に希望を託していくしかない。 (文責・藤江直人/スポーツライター)