【Q&A】「世界遺産」どう決まる? 【図解】
Q:日本にある世界遺産は?
このうち、日本の世界遺産は文化遺産19件、自然遺産4件です。複合遺産はありません。 初めて登録されたのは、1993年に登録された4件です。文化遺産として「法隆寺地域の仏教建築物」(奈良県)、「姫路城」(兵庫県)が、自然遺産として「屋久島」(鹿児島県)、「白神山地」(青森県、秋田県)が登録されました。
Q:どうやって世界遺産に決まるの?
まず、世界遺産条約の締約国が国内の候補リストから、条件の整ったものを21か国で構成される世界遺産委員会に推薦し、原則として年1回開催される委員会で登録するかどうかを決定します。 この世界遺産委員会に先立ち、諮問機関が各国の推薦候補を審査し、評価を下します。文化遺産はICOMOS(国際記念物遺跡会議)が、自然遺産はIUCN(国際自然保護連合)がそれぞれ諮問機関として審査を担い、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で勧告します。この諮問機関の評価が、世界遺産委員会の判断を左右することになります。 21年5月には、日本が自然遺産に推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」、文化遺産に推薦した「北海道・北東北の縄文遺跡群」がそれぞれIUCNとICOMOSから「登録」を勧告され、世界遺産に登録される見通しとなっています。
Q:世界遺産に登録されたらどうなるの?
遺産価値が世界的に認知されることになります。一方で観光地として多くの人が押し寄せることから、遺産価値の保護とのバランスが課題として指摘されています。遺産の保護は各国の義務ですが、自国の力だけで十分保護できない場合、世界遺産基金による国際的援助を申請できます。
Q:一度登録されたらずっと世界遺産なの?
世界遺産に登録されても、開発や紛争、自然災害などによりその価値が脅威にさらされれば、世界遺産委員会の「危機遺産」のリストに入れられる可能性があります。ユネスコのホームページによると、危機遺産は世界各地に53件あります(21年7月5日現在)。 例えば、イスラエルの「エルサレム旧市街とその城壁群」、内戦が続くシリアの「パルミラの遺跡」などが危機遺産となっています。 危機遺産となり、その顕著な普遍的価値が失われたと判断されれば世界委遺産の登録から抹消されてしまいます。実際に、これまで2007年にオマーンの「アラビアオリックスの保護区」、09年にドイツの「ドレスデン・エルベ渓谷」が登録を抹消されています。