世界遺産追加登録「熊野古道」5ルートを歩く
世界遺産追加登録の5ルートを歩く
世界遺産追加登録「熊野古道」5ルートを歩く THEPAGE大阪
世界遺産の「熊野古道」に新たに5ルートが追加登録されたのはご存知だろうか。和歌山県田辺市では、今年10月に5ルートが追加登録されたのを受け、観光客誘致に乗り出している。現在、語り部同行など様々なツアーが組まれており、そこで今回、追加登録の5ルートを歩いてみた。ざっと10キロ。神秘的な熊野古道は、歴史の息吹を感じることができるばかりか、世界遺産を歩くという意味でも貴重な体験になるに違いない。熊野古道は熊野本宮大社、熊野那智大社、熊野速玉大社の3つの神社を参詣するために開かれた道のこと。近年ではパワースポットとしても注目され、海外からの参詣客も増加しているという。
宿泊施設もそろう
「紀伊山地の霊場と参拝道」が世界遺産に認定されたのは2004年。そして今回、熊野参詣道中辺路(北郡越・長尾坂・潮見峠越・赤木越)及び熊野参詣道大辺路(闘鶏神社)が追加登録され、5つのルートが新しく加わった。 田辺市観光振興課の冨田晃規主査はこう話す。 「田辺市では 10 月24 日に『闘鶏(とうけい)神社』『長尾坂』『潮見峠越』『北郡越』『赤木越』の 5か所がユネスコ世界遺産に追加登録されました。巡礼の原点である熊野詣の旅路の疲れを癒す川湯温泉など、宿泊施設もそろっていますし、ぜひ世界遺産を体験して欲しいです」 川湯温泉は河原から温泉が湧き出る全国でも珍しい天然露天風呂があることで知られ、清流と山々の景色も併せて楽しめる。 すでに世界遺産に登録されていた熊野神社の総本宮「熊野本宮大社」は、観光スポットとしては見逃せない。全国に3,000社以上ある熊野神社の総本宮だ。熊野観光の案内拠点「熊野本宮館」もある。また、JR紀伊田辺駅前には“味光路”という飲食店街があり、狭い路地に飲み屋が連なっており、ご当地の旬がつまった食事処も豊富だ。
珍しい熊野詣の入り口・闘鶏神社
さて今回、5つのルートが追加登録されたわけだが、中でも、珍しいのは熊野詣の入り口でもある「闘鶏(とうけい)神社」だ。 市街地にあり、熊野三山の別宮的存在で、熊野参詣の折には参拝して心願成就を祈願したと言われる。同神社の名は、武蔵坊弁慶の父、熊野別当湛増が源平の壇ノ浦の戦で源氏と平氏のどちらに味方するかを決めるため、紅白の鶏を闘わせ、神意を占ったことに由来する。 そんな神社から古道歩きのために向かったのは、まず「赤木越」だ。中世のままの参拝道を感じられるルートで、アップダウンがやや激しいところもあり、ペットボトルは携行必須だろう。 一遍上人にまつわる伝説の鍋割地蔵や弘法大師を祀る祠、柿原茶屋跡などがあり、往時を偲びながらの古道ウォークが楽しめる。 近世の石畳道を通る古道「長尾坂」は、南北朝時代に開設したといわれ、熊野三山への主経路として頻繁に利用されていたルート。石畳になっているのが珍しい。さらに10 世紀~13 世紀に皇族・貴族の参拝の主要道「北郡越」も、趣深いと言える。