オーツミルクは体にいいの? 栄養士が長所と短所を教えてくれた
オーツミルクは体に悪い?
オーツ麦が体にいいことから、そのミルクも体にいい気がするけれど、そうとも言い切れない。オレンジジュースを飲むのとオレンジを食べることが同じではないように、オーツミルクを飲むこととオーツ麦を食べることは同じではない。ほとんどの食品に言えることだけど、体に悪いかどうかを一概に言うのは過度の単純化になってしまう。もしかしたら、「オーツミルクを飲むことの欠点は何?」という質問のほうがいいかもしれない。 ・加工度が高い可能性がある ダンドレア゠ラサートさんによると、店で買うオーツミルクは自家製のものよりも加工度が高いそう。これによりでんぷんが単糖に分解され、グリセミック指数が上昇する(詳しくは後述)。 加工の工程には、オーツミルクの分離を防ぐ乳化剤や油の添加も含まれる。これこそが、オーツミルク人気を支えるクリーミーで芳醇な濃度を生み出す業界の秘密。「ほかのプラントベースミルクと同じように、オーツミルクには、液体を安定させ、クリーミーな食感を与えるための乳化剤や増粘剤が含まれている場合があります。これは、個人の増粘剤に対する耐性や健康目標に応じて、体にいい場合も、あまりよくない場合もあります」とダンドレア゠ラサートさんは説明する。 「私は最近、食品表示ラベルの添加物により注意を払うようになりました。それは、乳化剤やそのほかの添加物が特定の病気のリスクを高める可能性を示すエビデンスがあるからです」と話すカセッティさん。「アメリカでは、食事の総カロリーの最大60%が超加工食品(ほとんどのプラントベースミルクもこの分類に入る)で占められています。そのため、私たちが口にする多くのものに食品添加物が含まれている可能性が高いです」と彼女は説明する。 カセッティさんは、一般的な乳化剤に腸内マイクロバイオータを変化させ、炎症を促進する可能性があることを発見した、齧歯動物における2021年の研究を引用している。「この研究結果は、乳化剤が消化管内の炎症を増加させ、炎症性腸疾患を引き起こす可能性があるという、このトピックに関する別の研究結果と一致しています」このエビデンスは、オーツミルクだけでなく、あらゆる食品に含まれる乳化剤が腸に悪い可能性を示唆しているけれど、このトピックに関するさらなる研究が必要とされる。さらに、体のほかの部分についても懸念があるという。「プラントベースミルクのクリーミーで牛乳のような質感を作るために一般的に使用される特定の増粘剤が、心臓病や脳卒中のリスク上昇に関連していることが、2023年の研究で判明しました」と話すカセッティさん。ただし繰り返しになるけれど、この結果を裏付けるにはさらなる研究が必要だ。 「オーツミルクの種類によっては、よりとろみをつけて安定させるために、油を添加しているものもあります」とダンドレア゠ラサートさんは話す。「オイルフリーの食生活を送っている人や、種子油が気になる人には適していません」 ・グルテンを含む可能性がある 乳製品やナッツ類、大豆を摂取できない人にとって頼みの綱となるオーツミルクだけど、グルテンについて対応が不完全な商品があるかもしれない。「オーツ麦がグルテンで交差汚染されている可能性があり、グルテンがオーツミルクに混入する可能性があります」とダンドレア゠ラサートさんは警告する。グルテン不耐症または過敏症の場合、食品表示ラベルをチェックして、その商品にグルテンフリー認定のオーツ麦が使用されていることを確認するよう、彼女はアドバイス。一番確実なのは、第三者機関によってグルテンフリー認定されたオーツミルクのみを購入すること。 ・一般的にほかのミルクよりも炭水化物が多い 「オーツミルクには1カップあたり約16gの炭水化物が含まれています。これはパン1枚分とほぼ同じです」とカセッティさん。「糖質の摂取量を管理している人は、食事中に摂取するそのほかの糖質と合わせて考慮するか、糖質の少ない別の種類のミルクを選ぶといいでしょう」