大学日本一から一転、不遇の3年間。“拾われたエース”石井宗人がポルセイド浜田で描く逆転劇「このクラブでF1に上がったら、面白い」|フットサル
2024年、ポルセイド浜田が躍進を遂げた。2020-2021シーズンからFリーグに参入した浜田が、4年間で獲得した勝ち点は「18」。勝利したのはたったの4回と、4年連続最下位から抜け出せずにいた。 【画像】松井大輔がSNSで伝えた被災地の現状 しかし今シーズンは17試合のうち9勝を挙げ、勝ち点は「30」と4年間で積み上げてきた記録を大幅に更新。リーグ戦1節を残し、5位につけている。 そんな浜田で現在12得点とチーム内得点王の活躍を見せているのが、加入2年目の石井宗人だ。 高校卒業後に多摩大学に進学してフットサルを始めた石井は、大学3年生の時に日本一を経験。卒業後はバサジィ大分のサテライトに加入し、特別指定選手としてトップチームに登録された。 しかし、大分では思うように出場時間を得ることができず不遇の3年間を過ごした。昨シーズンから浜田に移籍すると、1年目にして16試合出場、14ゴールを挙げる活躍を見せた。今シーズンは石井自身の結果が、チームとしての結果にも結びついている。 個人として上のカテゴリーに再挑戦する選択肢も考えられるなかで、石井は少し考えながらこんな言葉を口にした。 「このクラブでF1に上がったら、面白い」 シーズン2年目で「チームを勝たせたい」という責任感が生まれたという石井。自分を拾ってくれたクラブへの恩返しを一番に考え、置かれた場所から上を目指す浜田のエースが、これまで歩んできた道のりに迫る。 取材・文=伊藤千梅
「ボールをたくさん触れる」フットサルの道へ
──石井選手がフットサルを始めたきっかけを教えてください。 フットサルを始めたのは、高校3年生の時に全日本ユースフットサル大会に出場したことがきっかけです。そこから徐々にフットサルにハマっていきました。 大会はベスト8で終わったので、悔しい思いもありましたが、楽しかったです。対戦はしなかったのですが、多摩大学のフットサル部で一緒にプレーした、当時フットボーズの南雲(颯太)や帝京長岡の安井(嶺芽)は配信を見て上手いなと思っていました。 ──フットサルをしたのは大会が最初ですか? 全日本ユースに出る前から、部活後にチームメイトと体育館でボールを蹴ることはあって、その時から「フットサルのほうが合ってるかな?」とは感じていました。 僕は元々ボールに触るのがすごく好きなのですが、サッカーだと歩いている時間やオフザボールの時間が長いじゃないですか。でもフットサルは常に駆け引きがありますし、ゴールとゴールの距離が近くて展開が早いので、そういう部分が面白いと感じました。 ──本格的に競技を転向しようと思った決め手はありましたか? 大学の体育会サッカー部の練習参加もしていましたが、後ろから前線に長いボールを蹴るスタイルのチームが多く「これだとあまり面白くないな」と思っていました。大学サッカー自体が全体的にフィジカル重視のイメージだったので、自分には合わないなとは感じていました。 そんな時にフットサルの大会に出て「ボールにいっぱい触れるし、面白い」と感じたので、こっちの道に進んでみようかなと思いました。実際にうまくいくか不安もありましたが、多摩大学は強いという話を聞いてたのでまずは挑戦してみよう、と。もし多摩大学に落ちていたら、就職していました(笑)。