フェンス登ってコーチから叱咤「やっちゃいけん」 スーパープレー狙うも…まさかの“失態”
2015年の2軍戦では“失敗”…手前に落ちた打球
ホームランキャッチから5年後、2015年8月のソフトバンク2軍戦(由宇)で失敗した。ソフトバンク・松中信彦内野手の一撃を、右翼の天谷氏はフェンスに登って捕ろうとしたが、打球がそこまで届かなかった。登ってから気付いたが間に合わなかった。「松中さんは三塁でアウトにしましたけど、当時、2軍の外野守備コーチだった森笠(繁)さんに『あれはやっちゃ、いけん』と厳しく言われました。そりゃあそうです。若い子が見ている中でしたしね」。 天谷氏は「今だから笑って振り返れるところですけどね」と話すが、それを踏まえても、あのホームランキャッチの完成度はわかるところだろう。開幕から打撃不振にあえいだ2010年は、それで自身にも勢いがついたのもしれない。8月27日の巨人戦(マツダ)では野間口貴彦投手からシーズン6号となる逆転サヨナラ3ランをかっ飛ばした。「たぶん、僕にとっては唯一じゃないですかね。打った瞬間に行ったぁと思ったのは」というほどの会心の当たりだった。 2010年の天谷氏は123試合に出場して335打数82安打の打率.245、6本塁打、35打点、18盗塁だった。7月終了時点で打率.190。そこから盛り返したものの、納得できる成績ではなかった。「(監督の)野村(謙二郎)さんの期待に応えられず、ホントに申し訳ないと思いました」。しかしながら、ホームランキャッチは天谷氏の代名詞みたいなものだし、誇れるものと言っていいはずだ。 その後、マツダスタジアムに赤松&天谷の等身大のスーパープレー人形が飾られたことでも話題になった。「あの時の人形は今、(広島県の)備後庄原駅のホームに展示してあります! そういうふうにやっていただいて、ありがたいです。是非見に行ってほしいです」と笑みを浮かべた。
山口真司 / Shinji Yamaguchi