「お前の銀行にいくら預けてると思ってるんだ!」と凄むカスハラ客に、メガバンク行員が思わず言ってやりたい「ひと言」
● 「なんで会社が動かなくちゃいけないんですか」 コンプライアンス部担当者からのあきれた回答 支店長に報告した後、コンプライアンス部に電話し、状況を説明する。 「これは個人攻撃です。誹謗中傷だし、警察に訴えるべきだと思います。防犯カメラの映像と、受け付けた書類から本人を割り出して…」 「課長、無駄ですよ」 「えっ?」 「攻撃した相手は、どちらかというと個人に怒りの矛先があるじゃないですか。だったら、なんで会社が動かなくちゃいけないんですかね。その行員個人が警察に行けばいいんじゃないですか?」 「彼女は勤務中にこんな目に遭ったわけですから、会社が守ってあげなくてどうするんですか」 「3時間はオーバーだとしても、待たせて怒らせたのは事実なんだから、目黒課長も反省しないと…」 「銀行は動かないと言いたいわけですね」 「ほら、そうやって私に突きつけてくる。私にだって決める権限などありませんよ。どうするかは支店で判断して下さい。その行員がメンタル不調になったなら人事部、SNSに削除要請するなら広報部、警察対応であれば、そうですねえ…」 他の部署に対応を押し付ける始末。コンプライアンス部に電話したことを後悔した。こういう人間が本部部署の責任ある地位にいるうちは、この銀行に未来はない。
● 「そんなの便所の落書きですよ」 投稿の削除に後ろ向きな広報部 SNS投稿の削除について、広報部に電話した。 「削除はお勧めしませんねー。こういう書き込みをする人物は、投稿やアカウントを削除されると、もっとエスカレートしてくるんですよ。あんまり刺激しないほうが無難です」 「それでは彼女も耐えられませんよ。我々が何とかしないと」 「目黒課長?そんなの便所の落書きですよ」 「便所?」 「昔よくあったじゃないですか。市役所とか駅のトイレに落書きが。あれと同じようなもんです。消しても消してもまた上から書かれるんです。キレイにしたらまた書く。消したらエスカレートするだけですよ。相手にしないことが最善策でしょうね」 「彼女はショックで休んでるんですよ。銀行が守ってあげなくて、誰が彼女を守れるんですか!見て見ぬふりは違うでしょう」 「『見て見ぬふり』なんて一言も言ってませんよ」 「『放っておけ』は同じことですよね」 「そんなに言うなら、削除要請はしますよ。ただ相手はX社なんで、すぐに削除してもらえるかは分かりませんけどね」 この担当者にとって、本件の優先順位が低いことは確かだ。本部部署と現場の支店では、こうした大きな溝があちこちにある。この溝を埋めない限り、この銀行に未来はない。もちろん、現場の方を向いて頑張っている本部部署も多々あるが、一部のこうした発言が全てを台無しにしてしまう。