「お前の銀行にいくら預けてると思ってるんだ!」と凄むカスハラ客に、メガバンク行員が思わず言ってやりたい「ひと言」
● スマホで行員を隠し撮りしてXに投稿 「早くクビにしないとね、クソM銀行www」 M銀行の事務担当は、ある時期以降、新卒採用をしていない。したがって、最後に新卒採用された事務担当は、後輩がいない状況、永遠の末席である。 それにしても、向坂さんの場合はともかく、問題は繊細な性格の担当者がネットで批判された場合だ。私のような無神経な人間なら気にも留めないものの、そのような人にとっては耐え難い苦しみではなかろうか。 実は向坂さんのほかにも、実名で名前を晒された女性行員がいる。窓口で自分より後に受け付けた客が、自分より先に処理を済ませたことが、気に入らなかったらしい。 処理の内容によっては時間がかかってしまうことがあると説明しても「勝手な言い訳だ」と怒りが収まらない。挙げ句の果てに「無能の集まりだ」とわめきだした。ほどなく私が事態の収拾に当たったものの、怒りの矛先がその女性行員に向かった。翌朝、彼女から電話を受けた。 「すいません。今日、休ませて下さい」 「おお、どうした?具合悪いのか?」 「あ、あの…Xは見たりしますか?」 「ああ、たまにね」 「検索で『M銀行みなとみらい支店』、見られますか?」 「あったあった…『こんなバカでも銀行員。バカ女のおかげで3時間も待たされましたよ。おまけに順番すら分からなくなってんの。早くクビにしないとね、クソM銀行www』」 スマホで隠し撮りをしたのだろう。胸の名札と窓口の写真が載っている。しかし、3時間も待たせてはいない。 彼女は嗚咽を漏らしていた。 「怖くて仕事に行けません!」 「そう思う。ひどいよ、これは。コンプライアンス部と広報部に対応を相談するよ。今日は休んで、明日から…」 電話を切られてしまった。すぐにかけ直したものの、着信を拒否するメッセージが虚しく流れた。 (かなり参っているな…)