チェジュ航空機事故、韓国メディア「『丘』がなければ被害少なかった可能性」…当局はレコーダー分析へ
【務安(ムアン)(韓国南西部)=小池和樹】韓国南西部の務安国際空港でバンコク発務安行きのチェジュ航空機(ボーイング737―800型)が着陸に失敗した事故で、聯合ニュースは30日、旅客機が着陸直前に空港の管制機関に緊急事態を知らせた際、鳥と衝突したと伝えたと報じた。 【動画】韓国で旅客機が着陸失敗、黒煙を上げて炎上する機体
鳥が航空機とぶつかる「バードストライク」により、機体に何らかの異常が発生したことを示すものだ。
国土交通省は30日、旅客機のブラックボックスを分析機関に送った。速度や高度といった飛行データを記録した「フライトレコーダー」と、操縦室内の音声を記録する「ボイスレコーダー」を分析して事故直前の状況を確認する。韓国メディアはフライトレコーダーの外側が損壊しており、分析に時間がかかる可能性があると伝えている。
韓国メディアはこの日、滑走路近くにある航空機を誘導する「計器着陸装置」の構造を問題視する専門家の見解を相次いで報道した。計器着陸装置は滑走路から約200メートル離れた場所にあり、数メートルの土とコンクリートでできた盛り土のような構造物に支えられていた。胴体着陸した旅客機は盛り土に衝突して大破、炎上しており、中央日報は「コンクリート製の『丘』がなければ被害は少なかった可能性がある」という専門家の見方を伝えている。
韓国政府は事故機と同型のボーイング737―800型機を運航するチェジュ航空やジンエアーなど韓国6社の全101機に対し、安全性を確認するための特別点検を1月3日にかけて行うと発表した。
聯合ニュースによると、30日午前7時頃、金浦空港を離陸した同型機(乗客161人)が、離着陸時に使う車輪の異常を示す信号が出たため、同空港に引き返した。異常信号の受信後、車輪が出ることを確認した。
務安国際空港で着陸に失敗したチェジュ航空機は、着陸時に車輪が出ずに胴体着陸を行っていた。
ボーイングや米連邦航空局も調査
【ワシントン=冨山優介】米国家運輸安全委員会(NTSB)は29日、韓国当局による事故調査を支援するチームを設置するとX(旧ツイッター)への投稿で明らかにした。事故機の製造元である米航空機大手ボーイングと、米連邦航空局(FAA)もチームに加わる。